吊り下げたブランコ台に屋上から乗り込む動作、ブランコ作業マニュアル(GCA刊)でいうところの「ブランコ台への搭乗」は、たいへん危険で墜落事故が発生する可能性がきわめて高く、新人にブランコ作業を教えるうえで最も難儀なポイントです。
ブランコ台に立った作業者は、ライフラインで墜落jから保護されるとともに、もう1ポイント、屋上内から繰り出されたランヤードで墜落から保護されています。(ダブルプロテクションの原則ですが、じっさいの現場では屋上から繰り出されたランヤードという、ありがたい安全対策は無いのが普通…)
ところが、ブランコ台へ腰掛けるためには、屋上から繰り出されたランヤードがジャマになり、拘束されて座れませんン。
だからといって、このランヤードを外してしまったら、墜落からの保護はライフラインのみ1ポイントとなってしまい、ダブルプロテクションの原則に反してしまいます。
またライフラインのグリップは、低い位置よりも高い位置にあったほうが安全ですが、位置が高いと作業者は拘束されて、ブランコ台へ座れません。
そこでグリップを把持して位置を下げる必要が生じますが… いいのかなぁ??全然ダメでしょう。いうまでもなく、墜落からの保護がまったくない状態、0ポイントに陥るからです。
ロープ高所作業特別教育では、0ポイントに陥ることがないよう、メインロープの下降器具の位置をできるだけ高くするなど、対処をしていますが、ブランコ台へ腰掛けるまでは、どうしても1ポイントにならざるをえません。
これがブランコ台を身体保持器具として使用する限り、避けて通れないリスクで、ブランコ作業が決して安全なものにならない根拠の一つです。
もし、ブランコ作業はロープアクセスではないから、ダブルプロテクションの原則は適用されないという人がいたら、それは詭弁です。
そして下降のさい、新人は、本能的に下降器具よりも上のロープを掴んでしまうから厄介です。
これではロープの操作ができないばかりか、墜落してしまいます。
下降器具は、ロープが流れ出さないよう、安全装置のあるものを使用しなければならない理由の一つがコレです。
今世紀、産業用ロープアクセスの時代に入ったのだから、もうブランコはやめようよ…
ご安全に
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