ロープの設置、すなわちリギングは、ロープ高所作業の安全を左右する重要なポイントです。
ヒューマンエラーを引き起こすような、複雑な手法は勧められません。
シングルアンカーによるメインロープとライフラインの設置は、単純で簡単で、よく見かけますが、シングルアンカーは、2個の支持物の間隔が、最大700㎜までが安全の目安で、1メートルも離れたら、危険な横ズレによるロープ切断のリスクが生じます。
ビルの屋上の丸環では、決してやってはいけません。
このリスク低減対策として、前回は、ダブルアンカーによるYハングを紹介しましたが、もう一つ、有効な低減対策があります。
それは、リギングプレート(写真はペツルのポー・サイズM)でアンカーをつくる手法です。
リギングプレートは、破断強度が36kNで、メインロープとライフラインを一緒に設置してもよい十分な強度があります。
写真のリギングプレートは、スリングで設置しましたが、じっさいの現場では、適切な長さのランヤード(ペツルのグリヨンなど)が必要になるでしょう。
なぜなら、内角を90°以下にして、荷重の分散を図る必要があるからです。
設置したリギングプレートの下方には、コネクタ用の穴が2個あるので、それぞれにメインロープとライフラインをつなぎます。
必要とされる結策は、基本中の基本、フィギュアオブ8ループ(8の字結びで輪を作る)ただ一つです。
リギングプレートの傾きによって、若干、ロープのズレが生じますが、切断のリスクはとても低いと推察されます。
それでも、さらにリスクの低減を図るならば、ラビットノットによるダブルアンカー・Yハングです。
リギングプレートが傾くことはありません。ロープが切れることもありません。
リスクは十分、許容範囲まで下がります。
ラビットノット増えた分、作業者に技術が要求されますが、この結策はフィギュオブ8ダブルループ(8の字結びで輪を2つ作る)という、8の字結びからの展開ですから練習してください。
リギングプレートを使用するメリットは、盛り替え(移設)が簡単で、早いという点です。
連結部は、すべてコネクタなので、ロープがほどけるリスクがありません。
コストはかかりますが、それは初期投資です。
安全な技術を採用して、作業効率の向上を図ります。
これを、「安全はカネで買うものである」といいます。
ご安全に
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