ロープの設置:リスクアセスメント教えます♫


労働安全衛生規則の一部を改正する省令、「ロープ高所作業における危険の防止」は、第539条の3で、「メインロープ及びライフラインは、それぞれ異なる支持物に、外れないように確実に緊結すること」と、定めています。
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写真は、メインロープ及びライフラインの設置のイメージです。
それぞれのロープのアンカーは、シングルです。
上記省令に忠実に従った手法ですが、気を付けなければならないのは、省令は最低基準を示したものであって、最高基準ではないということです。
何でもかんでもシングルアンカーで設置するのは考えものです。
作業が不安全になる場合があり、むしろ不安全になる場合のほうが多いのではないでしょうか?

メインロープの支持物とライフラインの支持物の間隔は、墜落阻止器具(フォールアレスター)のランヤードの長さから、最大で700㎜が安全の目安と推察されます。
1メートル離れたら、もう危険です。
物理的に2メートル振られるので、シャープなエッジなど危険源に接触したライフラインは切断してしまうからです。
2メートル以上のコントロールできないスィングは、墜落と同等で、きわめて高いリスクであることを周知徹底する必要があります。

ガラスクリーニング、防水、塗装、看板、打診調査、電気工事、その他でビルの屋上からロープでアクセスするときは、丸環を支持物として使用するのが普通です。
しかし、丸環は6メートル間隔に設置されているので、間隔が広く、下降したいポイントにロープを持ってくるのが難儀です。
ガラスクリーニングの場合、ビルの高さにもよりますが、1時間に3~4回、ロープを盛り替え(結び変え)るので、いたずらに手間のかかる手法は推奨できません。

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次の写真は、多くの現場で見かける手法です。
メインロープとライフラインを、下降器具(スポーツ用)で束ねます。
当該下降器具は、ロープ上を自在に動かすことができるので、下降ポイントの調節が容易です。
とても便利ですが、ほんとうは手抜きです。
じっさいメインロープが外れたり、ほどけたりした場合、危険なスウィングが発生し、シャープなエッジ等、危険源に接触したライフラインは切れてしまいますから…DSC08575_R
ライフラインは、メインロープの異常に影響されないよう設置しなければなりません。
ですから、東京GCAの安全パトロールで見つかると叱られます。
安全パトロールは労働基準局の安全専門官が立ち会っていますから、業務改善を命じられることがあります。

DSC08568_R「役に立たない命綱」とタイトルを付けたホワイトボードの絵もまた、現場でよく見かける手法です。
シングルアンカーで設置されたメインロープを、さらに別の支持物に、スリング又はランヤードを介して緊結します。
これで、下降の位置が決まります。
一方のライフラインは、メインロープを固定したスリング又はランヤードにチョイ掛けし、いわゆるディビエーションの形に仕上げます。
これもまた手抜きです。
メインロープの破断によって、即、危険なスィングが発生し、ライフラインがシャープなエッジによって切断されてしまいますから…
連続してメインロープも切れるでしょう。
環境によっては、メインロープのほうが先に切れるかもしれません。
ライフラインは命綱です。
補助ロープではありません。
ちゃんと設置しないと、命取りになりかねません。

DSC08581_Rロープは、適切な養生によって切断の危険から保護されますが、切れないように設置するほうが先決です。
養生は、あくまでも2次的安全対策です。
安全なロープの設置は、2枚目のホワイトボードの絵を参考にしてください。

① について説明します。
メインロープ及びライフラインは、法令を遵守して、はじめに異なる支持物に、外れないように確実に緊結します。
そののちスリング又はランヤードを介し、別の支持物に緊結して、下降の位置をきめます。
ライフラインも、メインロープと同じ手法で設置します。
それぞれのロープは、シングルアンカーで設置したのち、ダブルアンカーにバージョンアップさせます。
こうした設置を、専門用語でYハングといいます。

② について説明します。
メインロープとライフラインを同じ支持物に緊結してから、別の支持物にスリングとランヤードで引っ張り、Yハングをつくります。
スリングとランヤードの強度は、ロープと同等ですから、強度的な問題はありません。
②は①と、同等です。コンプライアンスには抵触しません。

※注意:スリング及びランヤードはペツル製品等のEN規格品に限定。デージーチェーンなどスポーツ用品は対象外

ダブルアンカーによるYハングのメリットを以下に示します。
メインロープが切れても、ほどけても、ライフラインの位置は変わりません。
そのため、危険なスィングによるライフラインの横ズレが発生しません。
墜落阻止器具の位置を、できるだけ高くコントロールすれば、墜落のさいに発生する危険な衝撃荷重も低く抑えられます。
墜落距離が、とても短いということです。
しかも、ベクトルによって負荷が低減される分、シングルアンカーより勝っています。
シングルアンカーに及ぼす負荷は100%ですが、ダブルアンカー・Yハングでは、60°のとき57%に低減します。
負荷の低減は、支持物が破断するリスクを低減させます。
設置は容易で、ムダな時間がかかりません。
いいことずくめでしょう♫

次回、ビッグロック日吉店のロープアクセス講習会では、設置のための具体的なメソッドを教えます。

ご安全に


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