ブランコ作業の法制化については、厚生労働省のホームページ・PDF版「労働安全衛生規則の一部を改正 する省令案の概要」で確認できます。
省令改正後は、「安全帯」を取り付けるための「ライフライン」の設置が義務付けられます。
両罰規定により、会社は労働者にライフラインを使用させなければなりません。
労働者はライフラインを使用しなければなりません。
ライフラインと安全帯は、文字通り命綱ですから、使用は当然ですが、東京GCAの「ブランコ作業安全教育講習会」では、長い間、1種安全帯(胴ベルト型)の使用はリスクが高いと指導してきました。
墜落が止まったときの衝撃荷重による身体へのダメージと、救助されるまでの間、宙吊りで待つ苦痛は、生命にかかわる危険性が高いからです。
さて「第12次労働災害防止計画期間中の主な取り組み」には、「安全性の高いハーネス型安全帯のさらなる普及」という一文があります。
ここから当該省令案でいうところの「安全帯」は、1種安全帯ではなく、2種安全帯(フルハーネス型)を指すだろうと推察されます。
2種安全帯は「安全帯の規格」によって、アタッチメント(D環)の位置が背面と定められています。
この背部アタッチメントにライフラインを連結しますが、腹部にアタッチメントがないので、下降器具が連結できません。
専門的にいうと、2種安全帯はフォールアレストハーネスで、ワークポジショニングハーネスの機能はありません。
ワークポジショニングは対象外の2種安全帯は、ロープ上で体を支えることができないので、作業者はブランコ台に座らざるをえません。
しかしブランコ台は、「安全帯の規格」等で定められた保護具ではありません。
古くは吊り策の破断による墜落、板の破断による墜落、最近では台から滑って墜落…等、 過去の事故事例はリスクの大きさを示しています。
ともかく、ブランコ台が壊れても墜落はライフラインで阻止され、作業者はグランドフォールを免れるでしょう。
とはいえ、背中吊りの状態では身動きができませんから、直ちに救助しないと危険です。
こうしたリスクの低減は、腹部にアタッチメントのあるハーネスを使用し、カラビナ2個で、下降器具と連結することで可能です。
他にも、ブランコ台に座ったままでは(2種安全帯・フォールアレストハーネスの使用は)、異常時にロープを登り返して避難することができないことも、大きなリスクとして数えられます。
異常時とは、ロープが地面に届いていない状態や、ロープが途中で損傷している状態、下降の途中でロープの危険源(シャープなエッジや熱を発するパイプ等)を発見したとき、あるいは下方で発生した火災などが上げられます。
まとめると、ブランコ作業は上記リスクを許容せざるをえませんが、許容せずに対策を立てると、ロープアクセス技術に進化するということです。
ご安全に
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