安全帯を使用するなどの対策を講じないまま笠木に乗ることは、中レベルのリスク値(2×5=10)があるので禁止です。
左の写真のように、作業者が笠木に上がってからセーフティライン(ライフライン)にアサップ(墜落阻止器具)をセットするのを見かけることがありますが、これは不安全な行動といえます。 (この写真は撮影のためのヤラセです。)
これまで、こうした行動は 『足元ヨシ! 注意して作業しよう! 』 という具合に、KYで作業者に注意喚起をはかってきました。
たしかに、注意すれば簡単に墜落はしませんが、注意というものは熱中症や体調不良などいろんなファクターによって散漫になるものです。
ほんとうは注意散漫になっても墜落しない対策をたてる必要があるとおもいます。
対策を立てるといっても、すでにロープアクセスの資器材をご用意頂いている場合は、モノ対策はそれで十分でしょう。
作業手順書の見直しで、安全は確保されるとおもいます。
それでは、正しい作業手順を以下に示します。(写真参照)
1.屋上内でアサップをセットする。
2.アサップをセットしたのち、笠木にあがる。
3.笠木上でアイディ(下降器具)をセットする。
4.壁面に出て、下降する。
本来ならば、ここで講釈が終わるところですが、問題はそう簡単に解決はしません。
どういうことかというと、作業手順書を書き換えても、作業者がそのルールを守らなかったら への突っ張りにもならないからです。
ブランコ作業は、最近まで一本吊りで行われていた経緯があります。
土木の法面作業は、いまだに一本吊りですが、それはともかく、パラペットの高さが高い現場では、いきなり笠木に乗らなかったらブランコをセットすることができませんでした。
当然、作業者は、墜落防止措置のないまま笠木にあがるのが普通でした。
笠木上のリスクは、許容範囲と考えられていたのです。
そうでもしなかったら、ブランコで高いところから下降することなど、できっこない場合が多くありましたから…
EN規格のロープアクセス資器材が国内に入ってくる2006年以前のブランコ作業が野蛮だったのはしかたがありませんが、あしき職場風土のもとで、あたらしい安全のルールを守らせることは、容易なことではありません。
余談かもしれませんが、2006年は、厚生労働省がすべての業種にリスクアセスメントを努力義務化した年でもあります。けっして偶然ではないだろうと私はおもっています。
ともかく、形だけロープアクセスを採用しても、それだけで安全を確保するのは困難です。
ロープアクセスは、常に2ポイントの、墜落からの作業者の保護を要求しています。
常時2ポイント確保するためには、一時的に3ポイント確保する必要があります。(これが意外とむずかしい)
いまでも1ポイントの墜落防止措置でヨシ とされているブランコの作業者に、いきなり常時2ポイントの確保を求めても、戸惑うだけかもしれません。
技術の習得にはトレーニングが必要です。
机上の安全講習ではまにあいません。
弊社では、定期的にトレーニングを行っています。
興味のある方は ご参加ください。
ご安全に!
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