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  • 熱中症が原因とみられる墜落災害と、再発防止対策

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    連日、殺人的な暑さです。
    今日も天気予報は、関東各地で37°、38°、39°の猛暑と伝えています。
    昨日は、40°を超えた都市もありました。
    そんな中、熱中症が原因とみられる墜落災害の報告書が送られてきました。

    福岡市の複合ビルのガラス清掃で、ブランコ作業をしていた作業者(45歳男性)が、脱水症状により、ライフライン(セーフティライン)に墜落防止器具とりつける直前にふらつき、屋上から18m墜落。
    墜落中に作業用のロープ(ワーキングライン)をつかみながら着地。
    事故の結果は 両足の骨折、骨盤の骨折、ロープをつんだことによる両手のひらの火傷。

    全治4~5週間で、さいわい一命はとりとめましたが、いろんな面で大きな損失が発生することと思われます。
    私たちは、こうした事故から多くを学び、再発防止に役立てなくてはなりません。

    事故の原因は 熱中症だそうですが、熱中症というものは予防も大事ですが、なってしまった場合の対策も、同時に立てる必要があります。
    (対策:ロープアクセスでは作業チームによるオンサイトレスキューが要求されています。救急車が到着するまでに要救助者を地面におろします。救助に時間がかかると助かるものも助からないので、消防など外部からの救助サービスを期待してはいけません。)

    ともかく、大切なことは、熱中症になっても、墜落しない・させないことです。
    熱中症予防と墜落防止対策は、べつものと考えるべきでしょう。

    フェンスを超えたら墜落・転落のリスクが生じる。
    フェンスを超えたら墜落・転落のリスクが生じる。

    墜落のリスクは、作業者が屋上のフェンスを超えた時点から発生します。
    パラペットの高さが低ければ、墜落のリスクは大きくなります。
    作業者が笠木の上に乗れば、リスクはさらに拡大します。
    熱中症になる・ならない にかかわらず、作業者は墜落のリスクにさらされます。

    また、ロープのとりつけ(リギング)は、丸環を使用するのが普通ですが、丸環はパラッペットに設置されています。
    くり返しますが、高さの低いパラペットには、高いリスクがひそんでいます。
    当然、作業者は、ライフラインをとりつける最中にも 墜落のリスクにさらされます。
    作業前の KYで、よく、『ライフラインに墜落防止器具をとりつけてから作業しよう』 というスローガンを唱和しますが、ほんとうはライフラインをとりつける前に墜落防止を講じなかったら 手遅れなのです。

    適切な長さのランヤードを使用して、作業者がリスクのある場所へ近づくのを防ぐ。
    適切な長さのランヤードを使用して、作業者がリスクのある場所へ近づくのを防ぐ。

    まず作業者は、ハーネスに適切な長さのランヤードをセットして、レストレインで墜落を未然に防ぐ必要があります。
    ライフラインの取り付けは、それからです。

    レストレインとは、適切な長さのランヤードで作業者の行動を制限し、墜落の可能性のある場所への立ち入りを防ぐ手法です。
    いちばん安全で、簡単で、コストのかからない墜落防止対策です。

     

    危険な衝撃荷重は発生しないので、アンカーは必ずしも堅固であるひつようはない。(金網でもOK)
    危険な衝撃荷重は発生しないので、アンカーは必ずしも堅固であるひつようはない。(金網でもOK)

    最近、ガラスクリーニング業のあいだでも、安全帯で作業者を保護するのが困難とわかって、欧州規格のロープアクセス用ハーネスを使用する事業所が増えてきました。
    しかし、正しい用法を知らなかったら、かえって不安全です。
    安全帯には、取り外しのできないランヤード(約1.5mの長さのひも)がついていますが、ハーネスには、購入した時点で、ランヤードはありません。
    なぜかというと、ランヤードは作業内容や作業環境によって、そのつど有効なものを選んでハーネスにセットする必要があるからです。
    まずはレストレインができるよう、適切な長さのランヤードをハーネスにセットしてください。

    ご安全に

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  • 空調設備工事で ロープアクセス

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    7月から8月にかけて、東京都内のビルで大規模な修繕工事があり、ロープアクセス技術が活躍しました。

    当該ビルは、隣接する敷地とのあいだが極端に狭く、しかもジャングルで、足場の組立ができません。

    そのため仮設計画で、やむなくロープアクセスが採用されました。

    空調設備取付工事でロープアクセス

     

    写真は、空調設備の配管工事です。

    これまでも設備ヤさんのあいだで、ブランコ作業による配管工事が行われた例はいくつかありました。

    しかしブランコ作業は、ビルの窓ふきに許可された特別なメソッドで、建設業などで運用するには低減すべき大きなリスクが潜んでいます。

    しかも、ロープによる、下降しかできません。

    配管工事では、ロープの登り返しが ひんぱんに行われます。

    着地は、作業効率をきょくたんに低下させるからです。

    こうした現場では、ロープアクセスは きわめて有効な工法といえるでしょう。

    空調設備取付工事でロープアクセス2

     

     

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  • 大手ビル管理会社でロープアクセス・ブランコ作業のセミナー

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    7月25日 大手ビル管理会社の社員教育施設(東京都下)において、ロープアクセス・ブランコ作業のセミナーがあり、講師として参加してきました。
    この教育施設内には宿泊施設が併設されており、セミナーは合宿スタイルで行われ、夜は全国各地から集まった受講者のみなさんとの懇親会で、有意義なときを過ごすことができました。

    当該セミナーは、ガラス清掃・高所作業の安全確保について 作業の管理・監督者が知識を高めるもので、教科書は『ブランコ作業マニュアル』(全国ガラス外装クリーニング連合会発刊)を使用しました。

    DSC03554 [640x480]

    はじめに、ブランコ作業の安全のよりどころが、安全帯の規格(厚労省省令)であることを説明しました。
    この省令は、墜落防止の最低基準を示した法律で、けっして高い基準ではありませんが、民間には 最高基準のごとくに勘違いされています。

    なぜならば、墜落災害は、安全帯の未使用が原因になっている事例がむかしから多々あり、行政から『安全帯の使用』 を指導された事業所が多かったからです。
    くわえて昨今、コンプライアンスが流行りことばになっていますが、安全帯の規格を遵守すれば、すなわち安全帯を使用すれば、安全が保証される!(保証されるのではないか という期待もふくめて) という神話が まかり通っています。

    そんなことから、こんにち安全性の高い欧州規格のロープアクセス資器材・保護具が市場に出回るようになって、ブランコ作業にも使用されるようになり、 IRATAの認証を受けたロープアクセステクニシャンが200人を越えるようになってもなお、ブランコ作業の安全ルールは、安全帯の規格という最低基準によって成り立っているのです。

    当然、安全の最低レベルには、それなりのリスクが潜んでいます。
    リスクアセスメントを行って、許容範囲までリスクを低減させなければなりません。

    『ブランコ作業マニュアル』 は、たいへん良い本で、国内で初めてロープアクセスを紹介したテキストです。
    ロープアクセス用のロープや保護具の欧州規格を表記していますから、ブランコ作業の手法をリスクアセスメントするうえで役に立ちます。
    じつは、ブランコ作業をリスクアセスメントして、ロープアクセスのレベルに引き上げ、リスクを低減しようというのが当該マニュアルのねらいなのです。

    午前中は、ロープアクセス・ブランコ作業の安全に関わる講話に終始しました。
    とくに水平親綱というものは、レストレイン(適切な長さのランヤードを使用して、危険な場所への作業者の立ち入りを制限する方法)が使用目的であり、大きな衝撃が発生する墜落は想定外である! という講話は衝撃的だったようです。
    墜落阻止時の衝撃は、水平親綱に無限大の衝撃荷重をおよぼし、破断する高いリスクを生じさせます。
    不用意に安全帯をかけて墜落すると、たいへん危険なので、注意が必要です。
    水平親綱は、手の届く範囲の高い位置に設置するのが理想的です。

    DSC03560 [640x480]

    午後から、実際にハーネスを装着し、アイディやアサップなど、ロープのコントロールデバイスの操作を体験してもらいました。

    屋上に出て、丸環をつかってロープを取り付ける方法を見学してもらいました。
    レスキューも、簡単なのをふたつ展示しました。

    受講者のみなさま、世話役のみなさま、おつかれさまでした。
    お手伝いしてくれた アンちゃん、おつかれさまでした。

    これからも ご安全に

    最後に、受講後に受講者に書いていただいた感想で、おもしろいのがありました。
    「ぜったいに寝る! と思って参加したのに、寝なかった…(笑)」

    ありがとうございました。

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