FTGロープアクセス

  • 安全パトロール1

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    今月11日、東京GCAの安全パトロールが、行政官立会いのもとで行われました。
    私は、オブザーバーとして参加し、ブランコ作業の現状に直接ふれることができました。

    ブランコ作業は、安全のよりどころが『安全帯の規格』であるため、基本的に直径16mmの三つ縒りロープをライフライン(垂直親綱)として使用します。
    作業者がぶら下がって下降するメインロープは、直径18mmの三つ縒りロープが頻用されます。

    ただ、これら三つ縒りロープは重いので、作業者が一人で持ち運びできる長さは常識的に50mで、下降できるビルの高さは10階建てまで、という目安の不文律があります。

    しかし、高層ビルが林立する今日、長さ100m以上のロープでなければ作業にならない現場もあり、その分、作業者の負担(重いロープの持ち運びによるギックリ腰、長時間におよぶロープ上の作業による疲労、そして熱中症など)が大きく、万が一の救助活動も困難なので、リスクアセスメントを行って対策を立てる必要があるのですが、作業者のみなさんは、健気に、安全作業で頑張っておられました。

    高さ80mくらいのビルですが、直径18mmのメーンロープと、直径16mmのライフラインを使用したブランコ作業です。
    高さ80mくらいのビルですが、直径18mmのメーンロープと、直径16mmのライフラインを使用したブランコ作業です。
    直径16mmの三つ縒りロープが墜落防止のバックアップで、直径18mmの三つ縒りロープで作業者を支えます。
    直径16mmの三つ縒りロープが墜落防止のバックアップで、直径18mmの三つ縒りロープで作業者を支えます。
    ブランコ台には工業規格がありません。シャックルは下降器具ではありません。当該ロープも、下降用に生産されてはいません。むろんメーカーの取扱説明書はありません。
    ブランコ台には工業規格がありません。シャックルは下降器具ではありません。当該ロープも、下降用に生産されてはいません。むろんメーカーの取扱説明書はありません。

     

     

     

     

     

     

     

     

     

     

    写真で示した、古式ゆかしいブランコ作業は、モノがなかった時代に先人が考え出したアイディアです。
    全国ガラス外装クリーニング協会連合会が認める手法ではありますが、ロープや資器材に、安全を保証する工業規格がありません。
    なぜなら、個人保護用具ではないからです。
    ロープ上で動けなくなった作業者の救助は、困難です。
    事実、墜落して安全帯で宙吊りになった要救助者は、ただちに救助しなければ助からないのですが、その同僚によるレスキューは、計画が立てられません。
    安全は、作業者個人の技量によって左右されるので、くれぐれも安全作業でお願いします。

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  • IRATAのトレーニングで、全員合格しました。

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    12月9日から14日、兵庫県の高砂市でIRATAのトレーニング・アセスメントがありました。ロープクライミングジャパンでお馴染みのフジモトさんが、レベル3にチャレンジするというので、応援に行って来ました。むろん、見事に合格しました。

    またレベル1には、名古屋から一人、横浜から一人、東京から一人、いずれもビッグロックで訓練経験のある強者が参戦しました。みんな無難に合格し、ほっとしました。おめでとうございます。

    こうしてIRATAのアセスメント合格者が増えることで、国内の高所作業の安全が、一歩も二歩も前進すること間違いありません。
    トレーナーのピーター、アセッサーのタマス、ありがとうございました。

    レベル1のアセスメントです。リビレイの安全な通過法
    レベル1のアセスメントです。リビレイの安全な通過法

     

    レベル3のアセスメントです。ロープの結び目という障害物を通過するレスキューで、私は要救助者役でお手伝いしました。
    レベル3のアセスメントです。ロープの結び目という障害物を通過するレスキューで、私は要救助者役でお手伝いしました。

     

     

     

     

     

     

     

     

     

     

    アセスメントが終わり、ある受講者が、こんなことを言いました。

    「会社の諸先輩から、IRATAのトレーニングはキツイと言われて来ました。初日・2日目はたいしたこともなく、本当かなぁと思っていたところ、3日目から大変なことになりました。キツイというのは本当でした。」

    確かに、こんな経験をする機会はないので、非日常性を体験する意味でも、参加は有意義だったと思います。

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  • ブランコ作業とロープアクセスの安全基準の比較…レスキューを含むトレーニングの必要性

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    ブランコ作業で使用するロープは、直径16ミリ以上の太い三つ縒り構造から、直径11mmの細いカーンマントル構造に代わりつつあり、資器材(ロープのコントロールデバイス)もまた、ヨーロッパ規格のロープアクセス製品(EN 12871)に取って代わられつつあります。

    遠からず、ロープアクセス技術を知らずにブランコ作業を語ることは、困難になること間違いないと推察されます。

    それでは、ブランコ作業とロープアクセスの安全基準を、比較してみることにしましょう。

    国内のブランコ作業の安全基準(全国ガラス外装クリーニング連合会)は、以下に示す6条件です。

    1.ブランコ作業を行う場合はライフラインを設置する。
    2.作業用具には落下防止の措置を施す。
    3.安全帯を装着する。
    4.墜落防止器具を使用する。
    5.地上には、立入禁止区域を設ける。
    6.保護帽を着用する。

    上記は、2(用具の落下防止)と、5(立入禁止区域の必要性)で、第三者災害防止にも配慮しているので、労働者自身の保護に関する項目は、1(ライフラインの設置)、3(安全帯の装着)、4(墜落防止器具の使用)、6(保護帽の着用)の四項目にすぎません。
    また上記は、「安全帯の規格」をよりどころに作られたため、万が一の作業者の墜落を阻止する項目はありますが、肝心な下降時・停止時の、メインロープ上の作業者を保護する項目が抜け落ちています。「安全帯の規格」は、作業者のロープ上の移動・停止を想定した法律ではありませんから、ブランコ作業の参考には難しいのではないかと推察されます。

    一方、ロープアクセスの安全基準(欧州指令2011/45/EC)は、6条件すべて、労働者自身の保護に関する項目です。その要約を以下に示します。

    1.独立した支点に連結された二つ以上のライン(メインロープとライフライン)により、システムが構成されていること。
    2.作業者が適切なハーネスを装着し、ライフラインに連結されていること。
    3.メインロープには安全装置を有する器具を使用し、ライフラインには作業者の動きにあわせて移動する「mobile fall prevention system」を使用すること。
    4.ギアは適切にハーネス等に連結されていること。
    5.緊急時のレスキューも行えるよう、作業が適切に計画・監督されていること。
    6.作業者はレスキュー技術を含んだ適切なトレーニングを受けていること。

    ブランコ作業との大きな違いは、まず、下降器具に安全装置が義務付けられている点が挙げられます。ブランコ作業は使用するロープが三つ縒り構造なので、専用の下降器具がなく、シャックルにロープを巻きつけるなどのアイディアが採られてきました。カーンマントル構造のロープを使用する場合は、8環型の下降器具を使用するのが普通ですが、双方とも安全装置がないため、ロープをコントロールしている手を離したら、たちどころに墜落してしまいます。事実、そうした事故は耐えることがありません。

    次は、レスキューの必要性とトレーニングの義務化です。どういうことかというと、ロープの登下降、ロープからロープへの移動、結び目の通過、その他障害物の通過といったマヌーバーは、実際に作業で使うテクニックですが、作業というものは、事前にリスクアセスメントを行うことが義務付けられてるものです。したがって、すべてのマヌーバーは、現場の同僚によるレスキューが可能な、安全なテクニックであることが証明されていなければなりません。また作業者には、確かなレスキュー技術が求められます。

    ビルのガラスクリーニングの現場では、むずかしいスキュー技術は必要ないかもしれませんが、少なくとも、下降中に動けなくなった作業者を、同僚が救助できる程度の技術(下降モードのスナッチレスキュー)は、身につけておきたいものです。

    下降中に何らかの理由で動けなくなった作業者を、すみやかに救助するスナッチレスキューの訓練です。
    下降中に何らかの理由で動けなくなった作業者を、すみやかに救助するスナッチレスキューの訓練です。
    バックアップにペツルのアサップ、下降器具にペツルのアイディを使用している限り、下降モードでのレスキューは容易です。
    バックアップにペツルのアサップ、下降器具にペツルのアイディを使用している限り、下降モードでのレスキューは容易です。

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