FTGロープアクセス

  • 本当に起きてしまった予測された墜落災害

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    フォールアレスターはストレスなくロープ上を流れるが、これで墜落は止まらなかった!
    フォールアレスターはストレスなくロープ上を流れるが、これで墜落は止まらなかった!
    重い鉄のカラビナを軽いアルミ合金に換え、さらに 60cmのスリングをランヤードに転用した!
    重い鉄のカラビナを軽いアルミ合金に換え、さらに 60cmのスリングをランヤードに転用した!
    ランヤードはエネルギーアブソーバーを使用することになっている。鉄のカラビナは、このデバイスの部品
    ランヤードはエネルギーアブソーバーを使用することになっている。鉄のカラビナは、このデバイスの部品

    一般社団法人北海道GCAの専務理事から、ガラス清掃の現場で発生した墜落事故の「災害調査報告書」が上がってきました。

    発生日時:平成26624日 午後230分頃
    発生場所:函館市内
    者:非GCA会員 30代男性 ブランコ経験3
    被災状況:全治3ヶ月 (左足関節骨折、右肩部挫傷ほか)
    作業形態:ブランコ作業
    作業状況:2日間の作業予定の初日、ブランコ作業員4人。この現場は過去に一度経験しており今回が2度目
    災害状況:7階建ての5階部分でカラス清掃作業中、メインロープが切れて3階部分に墜落した。ロープは使用1年半くらいのカーンマントルロープを使用。ライフラインに墜落阻止器具を取り付けていたが、止まらずに墜落した。当該建物は、屋根が飾り屋根になっていて、金物がまいてあり、30センチくらいセットバックしているため、巻きつけ養生を使用していたが、ずれて外れていたか、養生材自体が切れていたかは手元にないため不明。朝から作業を行っており、この日の5本目で災害が発生した。

    さて、この墜落災害はメインロープ(ワークライン)の切断が直接原因です。
    しかし、お約束どおりにライフライン(セーフティライン)を使用していたにもかかわらず、墜落阻止器具(フォールアレスター)がちゃんと機能せず、墜落を阻止できなかったことが問題となりました。
    上記「災害調査報告書」には記載されていませんが、被災者への聞き取りで、ユーザーによるデバイスの不適切な改造が原因であることがわかっています。
    815日、ビッグロック日吉店で、東京GCAの安全教育担当者が集まって、検討会を行いました。
    写真参照

    一般ユーザーは、性能の良否よりも「小型」「軽量」「安価」を第一に考え、用具の購入をする傾向があります。そして使いやすいように、いじる…
    このフォールアレスターを初めて手にしたとき、仲間と一緒に、将来必ずこんな事故が起きるだろうと話し合ったものです。
    本当に起きてしまいましたね。
    「ひと
    が思いつく事故は、過去に例がなくても、いつか必ず起きる」といいます。
    マーフィーの法則ですが、リスクアセスメントで重視されるポイントです。
    正しい使用をユーザーに教え、訓練することを怠ってはなりませんが、事故を先取りし、危険因子を摘み取ることを忘れてはなりません。
    リスクアセスメントはモノ対策で、ヒト対策ではありません。

    具体的な対策等については、きたる9月9日に開催予定の「ブランコ作業安全教育講習会」(東京GCA主催)で発表します。

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  • 緊急!! 不適切な使用による墜落事故が多発

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    リグとイタリア製の墜落阻止器具… この組み合わせで事故が多発
    リグとイタリア製の墜落阻止器具… この組み合わせで事故が多発
    コネクタを持ち上げると、ロープをグリップするカムの機能は失われる。
    コネクタを持ち上げると、ロープをグリップするカムの機能は失われる。
    ハンドルを強く引いても、リグにはパニック防止機能がないのでロープの流れは止まらない。
    ハンドルを強く引いても、リグにはパニック防止機能がないのでロープの流れは止まらない。
    墜落阻止器具のカムの機能を殺したまま、リグのハンドルを引くのは危険!
    墜落阻止器具のカムの機能を殺したまま、リグのハンドルを引くのは危険!
    ひとは利便性を追求し、こんな危険な使い方を思いつく… よい子は絶対にマネをしないでね!
    ひとは利便性を追求し、こんな危険な使い方を思いつく… よい子は絶対にマネをしないでね!
    リグとアイディの大きさの比較です。小さいほうがリグ。リグにはパニック防止機能やフェールセーフ装置がありません。 
    リグとアイディの大きさの比較です。小さいほうがリグ。リグにはパニック防止機能やフェールセーフ装置がありません。

    暑いさなか、ビルの窓ふきの現場で、墜落災害が多発しています。
    比較的低いところからの墜落のため、死亡災害には至っていません。
    運良く無傷♫ という事例もありました。(お医者の見立ても異常なし)

    いずれもロープは2本とも切れておらず、結び目もそのままで、作業者だけが地面に叩きつけられたもの。(北海道の事故はメインロープの切断)

    原因は、ディセンダー(下降器具)の操作に失敗し、ロープが突然流れ出したときにフォールアレスター(墜落阻止器具)が正常に機能せず、墜落が止まらなかったもの。

    被災者は、みなさん共通して以下のデバイスを使用していました。
    フォールアレスター:イタリア製のカム式
    ディセンダー:ペツルのリグ
    ロープ:フランス製のセミスタティック

    なぜフォールアレスターが正常に機能しなかったかというと、下降時にストレスなく流れるよう左手でフォールアレスターのコネクタを握り、上方に上げたままにしたからです。
    これではロープをグリップするカムの機能が失われてしまい、墜落は止まりっこありません。
    この不安要素は、カム式のフォールアレスターに総じて潜むリスクです。

    • アサップとアサップロックは、ジャミングローラー式なので、上記の不安要素はありません。リスクは摘み取られています。登・下降時の操作にストレスなし。

    そして、フォールアレスターのコネクタを握った同じ手で、リグのハンドルを強く引くと、どうなるでしょうか?
    リグにはアイディのようなパニック防止装置はありませんから、ちゃんとテールロープ(下降器具から下方のロープ)を握っていなかったら、あっというまに墜落してしまい、地面に叩きつけられてしまいます。

    リグは、特別な現場で性能を発揮する熟練者向きのデバイスです。
    ロープのコントロール機能は、リグよりアイディのほうが優れています。
    じっさいエキスパートは、アイディを使用するのが普通です。

    それなのに熟練者でない人が、なぜリグを使いたがるかというと、アイディよりも小さくて軽いからです。
    件の、イタリア製のフォールアレスターも、小型で軽量です。

    トレーニングを受けていない人は、性能を重視することができないため、「小さい」「軽い」「持ち運びやすい」「安価」などを理由にデバイスを選択する傾向があるようです。
    販売店は、ユーザーによく説明する責任があるように思われてなりません。

    ともかく問題は、こんな不安全で危険な用法が 「便利だよ ♫」という無責任な情報によって、作業者のあいだに広まりつつある現状です。

    これ以上事故を起こさないために、重篤な事故に発展させないために、特にリグとイタリア製のフォールアレスターを使用している人には、実技トレーニングを含む安全教育を受けなおす必要があるように思われてなりません。

    ご安全に!

    最後になりましたが、情報のご提供者、取材のご協力者に、心から感謝申し上げます。

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  • ブランコ作業で、バックアップが機能せず墜落! 重症を負う

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    6月の末に、北海道のビルの窓ふきの現場(ブランコ作業)で墜落事故が発生し、札幌の事業所の作業者が重症を負ったというので、ちょっと行って来ました。

    メインに使用していたフランス製のセミスタティックロープが笠木のエッジで切断し、ビルの3階の高さから墜落したもの。

    ロープが切れたのは、ロープを左右に振りすぎたため、作業中に巻き付け養生が外れてしまい、直接ロープが笠木に接触したのが原因と推察されていました。
    「ブランコ作業」と言いますが、遊具のブランコではありませんから、スイングは不安全で、やりすぎは危険です。
    エネルギーの蓄積されていないロープ、すなわちテンションのかかっていない状態でロープは、鋭いエッジに接触し、たとえ擦れても、切れることはありません。
    しかし、エネルギーの蓄積されたロープは、たちどころに切れてしまうので注意が必要です。
    エッジには、ロープを接触させないのが一番ですが、接触がやむを得ない場合は、2重に養生を施すなどの対策が必要です。

    さて、この事故が問題になっているのは、ロープの切断もさることながら、セーフティライン(ライフライン)を使用していたにもかかわらず、墜落が止まらなかった点です。

    墜落阻止器具は、イタリア製のバックアップデバイスを使用していました。
    これは墜落時にロープの上方または器具そのものを握ると、墜落が止まらず、器具と一緒に落下する可能性があります。
    この現象は、カム式の墜落阻止器具に総じて言えるリスクです。
    また器具を逆さまにセットすると、墜落は止まりませんから、これも失敗の可能性として考えられます。

    当該デバイスは、取扱説明書に「トレーニングを積んで熟練してから使用すること。そうでない場合は、熟練者と一緒に使用するように!」との注意書きがあります。
    はたして、被災者はちゃんとトレーニングを受けていたのでしょうか?

    被災者は、下降器具にリグを使用していました。
    いうまでもなく、ペツルのリグです。
    ペツル製品は、通販はありませんから、容易に購入できません。
    販売店にも制度を設けていますから、無責任な販売などありえません

    被災者はいったい、どのようなルートでロープアクセス用具を購入したのか、疑問点として浮かび上がっていました。

    ともかく対策は、北海道GCAのブランコ講習会(実技訓練)を受けるということで落ち着きそうです。

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