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  • ロープの設置:リスクアセスメント教えます♫

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    労働安全衛生規則の一部を改正する省令、「ロープ高所作業における危険の防止」は、第539条の3で、「メインロープ及びライフラインは、それぞれ異なる支持物に、外れないように確実に緊結すること」と、定めています。
    DSC08584_R
    写真は、メインロープ及びライフラインの設置のイメージです。
    それぞれのロープのアンカーは、シングルです。
    上記省令に忠実に従った手法ですが、気を付けなければならないのは、省令は最低基準を示したものであって、最高基準ではないということです。
    何でもかんでもシングルアンカーで設置するのは考えものです。
    作業が不安全になる場合があり、むしろ不安全になる場合のほうが多いのではないでしょうか?

    メインロープの支持物とライフラインの支持物の間隔は、墜落阻止器具(フォールアレスター)のランヤードの長さから、最大で700㎜が安全の目安と推察されます。
    1メートル離れたら、もう危険です。
    物理的に2メートル振られるので、シャープなエッジなど危険源に接触したライフラインは切断してしまうからです。
    2メートル以上のコントロールできないスィングは、墜落と同等で、きわめて高いリスクであることを周知徹底する必要があります。

    ガラスクリーニング、防水、塗装、看板、打診調査、電気工事、その他でビルの屋上からロープでアクセスするときは、丸環を支持物として使用するのが普通です。
    しかし、丸環は6メートル間隔に設置されているので、間隔が広く、下降したいポイントにロープを持ってくるのが難儀です。
    ガラスクリーニングの場合、ビルの高さにもよりますが、1時間に3~4回、ロープを盛り替え(結び変え)るので、いたずらに手間のかかる手法は推奨できません。

    DSC08570_RDSC08574_RDSC08573_R
    次の写真は、多くの現場で見かける手法です。
    メインロープとライフラインを、下降器具(スポーツ用)で束ねます。
    当該下降器具は、ロープ上を自在に動かすことができるので、下降ポイントの調節が容易です。
    とても便利ですが、ほんとうは手抜きです。
    じっさいメインロープが外れたり、ほどけたりした場合、危険なスウィングが発生し、シャープなエッジ等、危険源に接触したライフラインは切れてしまいますから…DSC08575_R
    ライフラインは、メインロープの異常に影響されないよう設置しなければなりません。
    ですから、東京GCAの安全パトロールで見つかると叱られます。
    安全パトロールは労働基準局の安全専門官が立ち会っていますから、業務改善を命じられることがあります。

    DSC08568_R「役に立たない命綱」とタイトルを付けたホワイトボードの絵もまた、現場でよく見かける手法です。
    シングルアンカーで設置されたメインロープを、さらに別の支持物に、スリング又はランヤードを介して緊結します。
    これで、下降の位置が決まります。
    一方のライフラインは、メインロープを固定したスリング又はランヤードにチョイ掛けし、いわゆるディビエーションの形に仕上げます。
    これもまた手抜きです。
    メインロープの破断によって、即、危険なスィングが発生し、ライフラインがシャープなエッジによって切断されてしまいますから…
    連続してメインロープも切れるでしょう。
    環境によっては、メインロープのほうが先に切れるかもしれません。
    ライフラインは命綱です。
    補助ロープではありません。
    ちゃんと設置しないと、命取りになりかねません。

    DSC08581_Rロープは、適切な養生によって切断の危険から保護されますが、切れないように設置するほうが先決です。
    養生は、あくまでも2次的安全対策です。
    安全なロープの設置は、2枚目のホワイトボードの絵を参考にしてください。

    ① について説明します。
    メインロープ及びライフラインは、法令を遵守して、はじめに異なる支持物に、外れないように確実に緊結します。
    そののちスリング又はランヤードを介し、別の支持物に緊結して、下降の位置をきめます。
    ライフラインも、メインロープと同じ手法で設置します。
    それぞれのロープは、シングルアンカーで設置したのち、ダブルアンカーにバージョンアップさせます。
    こうした設置を、専門用語でYハングといいます。

    ② について説明します。
    メインロープとライフラインを同じ支持物に緊結してから、別の支持物にスリングとランヤードで引っ張り、Yハングをつくります。
    スリングとランヤードの強度は、ロープと同等ですから、強度的な問題はありません。
    ②は①と、同等です。コンプライアンスには抵触しません。

    ※注意:スリング及びランヤードはペツル製品等のEN規格品に限定。デージーチェーンなどスポーツ用品は対象外

    ダブルアンカーによるYハングのメリットを以下に示します。
    メインロープが切れても、ほどけても、ライフラインの位置は変わりません。
    そのため、危険なスィングによるライフラインの横ズレが発生しません。
    墜落阻止器具の位置を、できるだけ高くコントロールすれば、墜落のさいに発生する危険な衝撃荷重も低く抑えられます。
    墜落距離が、とても短いということです。
    しかも、ベクトルによって負荷が低減される分、シングルアンカーより勝っています。
    シングルアンカーに及ぼす負荷は100%ですが、ダブルアンカー・Yハングでは、60°のとき57%に低減します。
    負荷の低減は、支持物が破断するリスクを低減させます。
    設置は容易で、ムダな時間がかかりません。
    いいことずくめでしょう♫

    次回、ビッグロック日吉店のロープアクセス講習会では、設置のための具体的なメソッドを教えます。

    ご安全に

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  • ロープの設置:不安全な設置の仕方を教えます

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    ステンレス製の雨樋や、笠木のジョイント部は、シャープなエッジの最たるもので、ロープの切れる事故が、ガラスクリーニング業において時々発生します。
    岩やコンクリートのエッジも危険で、ロープに鋸の歯を当てるのと同じことになります。
    人ひとりの体重と同じ負荷をかけたロープ(巻き型養生あり)を、シャープなエッジに当て、横ズレさせると、わずか一往復半で切れることは、実験動画を何度も繰り返し見てもらっている人たちには、その危険性をよくご理解いただけているものと思います。
    ロープの保護として養生は、完璧ではありません。

    事故を防ぐためには、メインロープが切れても、作業者を保護しなければならず、そのためにライフラインでバックアップを図ることは、しごく当然のことといえます。
    公示された国内法(ロープ高所作業)でも、ライフラインの設置が義務付けられています。
    DSC08558_R
    写真は、設置されたメインロープとライフラインのイメージです。
    このように並列した支持物を、それぞれ2個づつ使用して、メインロープとライフラインを設置する方法は、いろいろな企業・団体で、ひろく採用されています。
    支持物間の距離は、フォールアレスター(墜落阻止器具)のランヤードの長さから、最大700㎜が有効と推察されますが、ビルの屋上の丸環で、これと同じことをやるのは、いかがなものかと思われます。

    DSC08557_Rどういうことかというと、丸環というものは、約6メートル間隔で設置されていますから、ライフラインはメインロープ側に斜めに引っ張られてしまいます。
    そのため、メインロープに切断、はずれ、その他異常が発生すると、たちまちライフラインが笠木上を横滑りしてしまい、切れてしまうからです。
    このような設置は、ライフラインに命綱の意味がありません。

    墜落の衝撃という、過大な負荷のかかったロープが切れるときは、一気にエネルギーが放出されるので、爆発と同じ現象がおきます。
    破裂音が発生し、破断したロープは、縮んで、短くなるのが特徴です。

    過大な負荷をかけたライフラインの切断面
    過大な負荷をかけたライフラインの切断面
    約30kgの負荷をかけたメインロープは、ステンレスのエッジを3回こすれば切れます!
    約30kgの負荷をかけたメインロープは、ステンレスのエッジを3回こすれば切れます!
    切断面の比較:右がメインロープ、左がライフライン
    切断面の比較:右がメインロープ、左がライフライン

    ライフラインは、墜落阻止時の衝撃という、過大な負荷ががかかるロープであることをよく理解しなければなりません。
    ライフラインは、メインロープの影響を受けないよう設置する必要があります。

    また、ホワイトボードの絵で示したように、それぞれのロープを設置した支持物の、次の支持物(AとB)が、役に立たないんだということも、よく理解しておくといいでしょう。DSC08552_R

    次回28日のロープアクセス講習会では、安全で、簡単で、実用的なロープの設置方法を教えたいと思います。

    ご安全に

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  • ディビエーション技術とは

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    8月5日、ロープ高所作業における危険の防止を図るための安衛則の一部を改正する省令が公示されました。
    厚生労働省のホームページに、通達が公開されています。

    その通達の最後に、ディビエーション技術が、絵付きで紹介されています。
    ディビエーションは、シャープなエッジ等に、ロープが施触しないよう細工する、ロープの取り付け方法のひとつです。
    ロープは、危険源に接触さえしなければ、切れる可能性は生じません。
    したがってディビエーションは、ロープの切断による墜落防止の措置としては最も望ましく、ひろくロープアクセスの業界で運用されています。DSC08544_R

    ディビエーションとは、厚労省の文書を引用すれば、「別の支持物、滑車、カラビナ等を用いて、メインロープの位置、方向を変えることで、接触によりメインロープが切断するおそれのある個所とメインロープとの接触を避ける措置」ということになりますが、これはSRT(シングルロープテクニック)といい、ケイビング等(スポーツ)で行われている技術です。
    ロープアクセスは産業なので、ディビエーションは、メインロープの他にセーフティライン(ライフライン)も使用して、いわゆる2ロープ、2アンカーの状態で行います。
    最近はシングルのディビエーションよりも、さらに安全なダブルディビエーションが採用されるようになりました。

    ディビエーションは、作業者に、通過するテクニックがなければ運用できません。
    通過に必要なテクニックは、腕力技です。
    そのため、ロープの位置、方向を変える「別の支持物」(ディビエーションアンカー)とロープの成す角度が直角に近づけば近づくほど、バカ力が求められ、通過はだんだん困難になって行きます。
    DSC08529_RDSC08530_RDSC08531_R

    通達の挿絵のように、メインロープがディビエーションよって、ほぼ直角に曲がる場合は、とても厄介です。
    作業者の体重の約1.4倍の負荷がかかってしまうからです。
    これを腕力で引き寄せることはできません。
    したがって、通過はできないことになます。

    くわえて、「別の支持物」に、大きな負荷がかかってしまうことを見過ごしてはいけません。
    破断のリスクが生じるので、シングルのディビエーションは不安全です。
    よい子は けっしてマネをしないように!
    これはリスクアセスメントです。
    ディビエーションの角度が大きくなってしまう場合は、ダブルディビエーションにしたり、支持物の位置を見直したり、あるいはリアンカー(リビレイ)に変更したりして、負荷の低減を図る必要があります。
    それでも無理な時は、作業そのものを再検討しなければなりません。
    DSC08533_RDSC08534_RDSC08536_R

     

    8月17日に、臨時に開催したロープアクセス講習会には、新人2名が参加しました。
    ディビエーションの通過をトレーニングしました。
    ディビエーションの通過は初級者レベルの技術です。(このレスキューは中級者以上)

    ご安全に

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