FTGロープアクセス

  • やっぱり危ない「ブランコ台への搭乗」

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    吊り下げたブランコ台に屋上から乗り込む動作、ブランコ作業マニュアル(GCA刊)でいうところの「ブランコ台への搭乗」は、たいへん危険で墜落事故が発生する可能性がきわめて高く、新人にブランコ作業を教えるうえで最も難儀なポイントです。
    img_1832_r
    ブランコ台に立った作業者は、ライフラインで墜落jから保護されるとともに、もう1ポイント、屋上内から繰り出されたランヤードで墜落から保護されています。(ダブルプロテクションの原則ですが、じっさいの現場では屋上から繰り出されたランヤードという、ありがたい安全対策は無いのが普通…)
    ところが、ブランコ台へ腰掛けるためには、屋上から繰り出されたランヤードがジャマになり、拘束されて座れませんン。
    img_1833_rだからといって、このランヤードを外してしまったら、墜落からの保護はライフラインのみ1ポイントとなってしまい、ダブルプロテクションの原則に反してしまいます。
    またライフラインのグリップは、低い位置よりも高い位置にあったほうが安全ですが、位置が高いと作業者は拘束されて、ブランコ台へ座れません。
    そこでグリップを把持して位置を下げる必要が生じますが… いいのかなぁ??全然ダメでしょう。いうまでもなく、墜落からの保護がまったくない状態、0ポイントに陥るからです。

    img_1836_rロープ高所作業特別教育では、0ポイントに陥ることがないよう、メインロープの下降器具の位置をできるだけ高くするなど、対処をしていますが、ブランコ台へ腰掛けるまでは、どうしても1ポイントにならざるをえません。
    これがブランコ台を身体保持器具として使用する限り、避けて通れないリスクで、ブランコ作業が決して安全なものにならない根拠の一つです。
    もし、ブランコ作業はロープアクセスではないから、ダブルプロテクションの原則は適用されないという人がいたら、それは詭弁です。
    img_1837_r
    そして下降のさい、新人は、本能的に下降器具よりも上のロープを掴んでしまうから厄介です。
    これではロープの操作ができないばかりか、墜落してしまいます。
    下降器具は、ロープが流れ出さないよう、安全装置のあるものを使用しなければならない理由の一つがコレです。
    今世紀、産業用ロープアクセスの時代に入ったのだから、もうブランコはやめようよ…

    ご安全に


  • 「グリップ」では、ダブルプロテクションの原則は守れない

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    周知のとおりロープ高所作業は、メインロープ及びライフラインの使用が法律で義務付けられています。
    これは当該作業(ロープアクセス)のISO-22846が定めるところの、ダブルプロテクションの原則と同じです。
    ライフラインと安全帯は作業中はもちろんのこと、下降中も作業者と連結され、かつ墜落阻止機能が正常にはたらいていなければなりません。
    しかし一般の高所作業における「垂直親綱」を、ライフラインに転用すると、このダブルプロテクションの原則は破られてしまいます。
    img_1801_r「垂直親綱」は、直径16㎜の三つ縒りロープを使用するのが普通で、その墜落阻止器具は必然、グリップ(たとえばロープチャック)になります。
    グリップの位置を変更する場合、作業者は、グリップ本体を把持してロックを解除しますが、作業者がグリップを把持している間は、ライフラインは無いのと同然の状態です。
    いいのかなぁ… ダメでしょう。
    墜落阻止器具本体を把持しなければならない構造は、製品としては回避しなければならない大きなリスクです。

    モバイルフォールアレスター:アサップロック
    モバイルフォールアレスター:アサップロック

    繰り返しますが、グリップは一般の高所作業における「垂直親綱」に使用する墜落阻止器具で、ロープ高所作業のために開発された製品でありません。転用は危険です。
    ロープ高所作業のライフラインには、ペツルのアサップロックを使用するのがベストです。
    なぜならジャミングローラー式なので、下降中に本体を把持する必要がないからです。
    また本体を把持したまま墜落しても、墜落が止まるのは、アサップロックだけの性能です。
    IMG_0445_Rカムロック式のDMMのキャッチは、下降の際に操作が必要になりますが、下へ引くための「しっぽ」があり、本体を把持する構造ではありません。
    いずれにしても、運用には訓練が必要です。
    次回ビッグロック日吉店でのトレーニングは、11月25日です。
    奮ってご参加願います。


  • とうとうブランコ作業に潜む危険が露呈

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    11月7日~9日の三日間、東京都清瀬市にある中央労働災害防止協会の安全衛生教育センターにおいて、「ロープ高所作業特別教育インストラクターコース」が開催されました。
    %e4%b8%ad%e7%81%bd%e9%98%b2_r受講者は24人 (募集時の定員は20人でしたが4人増えた理由は不明)
    のり面系の会社に所属しているのは、会社代表を含めて3名ほど。
    講習機関やコンサルタントが6名で、この中でロープ系の経験者が1名。
    残り10数名がビルのガラスクリーニングと販売店を含めたロープアクセス系です。
    講師は、全国ガラス外装クリーニング協会連合会(GCA連合会)の理事が4人で務めましたが、のり面については素人同然、いろんな不都合が露呈したということです。
    また講師連よりも受講者側のレベルが高たかく、逆に講師の側が教えられることが多かったもようです。
    講師側の報告によれば、準備不足と勉強不足は否めなかったとのこと。
    GCA連合会の大きな勘違いは、「国内法(安全帯の規格)を遵守する限りブランコ作業は安全である」と信じて疑わないところにありました。
    img_1803_rですから中央労働災害防止協会からの講師依頼を、喜んで受けてしまったのでしょう。
    ドンキホーテっすね。
    とうとうブランコ作業に潜む危険を露呈させてしまいました。

    どういうことかというと、安全帯とライフラインを連結するグリップ(例えばロープチャック)の操作に難があるのを知らずに、失敗を演じてしまったもの。

    img_1796_rグリップは、一般の高所作業で使用する垂直親綱の墜落阻止器具であり、もっぱら安全帯取り付け設備として運用されてきました。(炭鉱内の転落防止)
    垂直親綱にセットするのは職長の仕事で、作業者が勝手に位置を変えるのは禁じられてきました。
    このグリップをロープ高所作業・ブランコ作業のライフラインに転用するとどうなるか?!

    img_1799_r位置を変えないで下降したら、当然のことながら作業者は安全帯で宙吊りです。
    こうなったら、もう事故ですから大変です。
    宙吊りにならないよう、ちょっと下降しては止まり、止まってはグリップの位置を下げ、グリップの位置を下げてはチョイ下がり、…これを何度も繰り返し、繰り返し、地面へ到達します。
    なかなか厄介ですね。
    高層ビルでは1回の下降で日が暮れてしまうことでしょう。

    img_1801_r仕事にならないので作業者は、左手でグリップを操作しながら下降します。
    これでスピードが上がり、作業性は向上しますが、こんなこと、やっていいの?!
    右手をメインロープから放したら、どうなるか考えてみてください。
    ジェットマン(下降器具)には安全装置がありませんから、まあ考えるまでもなく墜落です。

    この危険性を受講者に指摘され、実技講習でブランコ台への搭乗が中止になったということです。
    この苦い経験が、ガラスクリーニング業界の技術レベルの向上に役立てば これに越したことがありません。
    ご安全に


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