5月9日、品川の城南職業能力開発センターにおいて、東京GCAの「ブランコ作業」に特化した「ロープ高所作業特別教育」が開催され、33人の受講者が熱心に受講されました。
さて、規則では「メインロープとライフラインは別々の支持物にほどけないよう確実に緊結しなければならない」と定められています。
だからといって、左の写真のようなロープの取り付けは、絶対にやってはいけません!
法規は安全の最低基準にすぎませんから、それを文字通りに受け取って、写真のようなロープの取り付けをするのはおバカです。
なぜバカなのか、わからない人は、インストラクターをやってはいけません。
むろん、理解できない作業者を作業に従事させるのは不安全ですし、事故が起きても不思議はありません。
同様に「ブランコ台は身体保持器具である」と定めてもらったことをいいことにして、接続器具(下降器具のこと)をブランコ台に取り付けて、ハーネスのD環には接続させる必要はないというブランコ作業のメソッドは、下降器のメーカー(ぺツル)の取扱説明書に逆行しているだけでなく、リスクアセスメントの観点からも、改善が必要であると思われます。
ブランコ台というものは、作業者の体を安定させ、作業を楽にする安全な道具ですが、墜落から作業者をまもる安全帯のような保護具ではないのです。
本来(ISO-22846に準拠するならば )、身体保持器具は、EN358及びEN813に適合するD環を有するハーネスを指す、といわねばならぬものです。
いまの国内法(安全帯の規格)のもとでは、ロープ高所作業の安全確保は十分とはいえません。
安全確保が困難である根拠のもう一つに、ディビエーション及びリビレイをする限りにおいてライフラインは使用しなくてもいい(一本吊OK)という経過措置のおろかさが挙げられます。
講習会が終わってアンケートに目を通すと、「ブランコは危険な作業…云々」と記した受講者が少なからずおられました。
2ロープ2ポイントの「ダブルプロテクションの原則」を提唱するISOに準拠する限り、ロープ高所作業(産業用ロープアクセス)はもっとも安全な高所作業のメソッドなのですが、ひとことにロープ高所作業といっても、ブランコ作業は不安全なものであると、受講者にはちゃんと理解してもらえたようでした。
ご安全に!