FTGロープアクセス

  • リギングのリスクアセスメント

    Posted on

    by

    リギングとは、ロープを取り付けることです。
    先のスレッドで、長いロープを真ん中で振り分けて、それぞれメインロープとライフラインとして使用するときの結索法をアップしましたが、詳細な説明の必要性を感じ、リスクアセスメントを行ってみることにしました。
    以下に示す写真をご覧ください。

    長いロープの真ん中をオーバーハンドノットで印を付けます。
    振り分けられた左右のロープに、それぞれフィギュアオブ8オナバイトでループを作ります。
    支持物Aにコネクターを接続し、ロープを2本とも取り付けます。
    支持物Bにアルパインバタフライでロープを2本とも取り付けます。
    Yの形に見えるので、Yハングといいます。
    荷重分散の目的もあるので、Yの内角は120度以内にする必要があります。
    90度で取り付けるのが分かりやすいでしょう。ぶら下がると60度くらいに変化します。
    支持物の破断強度は15kN以上のモノを使用する。
    コネクタの強度は25kN以上、安全環のネジは下向きで、ひとりでに緩む可能性はきわめて低い。
    そしてフィギュアオブ8オナバイトなので、ひとりでに解ける可能性はない。
    くわえてロープはEN-1891Aの規格品なので、強度等の信頼性はきわめて高い。
    ここまでやれば、事故が発生する可能性は天文学的数字です。
    それぞれ下降器具と墜落制止用器具をセットします。
    下降器具はアイディS、モバイル墜落制止用器具はアサップロックを使用しています。
    確認!ライフライン側のループを外してみると、ライフラインとメインロープは、それぞれ別々の支持物に取り付けられていることが証明できます。逆もまた真なり (法令遵守)
    支持物B側の ライフラインの ループが切れたと仮定します。
    支持物AとBの間隔は70㎝なので、下降器具は、すなわち作業者は、
    左に約35㎝以上(最大70㎝の可能性)スウィングします。
    わずかな距離の横ズレなので、リスクは許容範囲です。
    しかもライフラインの位置は、そのままなので安全です。
    ありえないことながら、コネクターからループが外れた場合を想定してみましょう。
    約40㎝墜落します。
    コネクターから下降器具までのロープの長さは、120㎝です。
    フォールファクターは、墜落した距離を繰り出されたロープの長さで割った数値なので、
    40÷120=0.3333 これがFF(フォールファクター)です。許容範囲ですが、
    実際には、もっと下降しているはずなので、さらにFFは低い数値になります。
    当然のことながら、その数値は、リスクの許容範囲にほかなりません。
    下降器具とシットハーネスのD環が確実に接続されていることが安全確保の条件です。
    次に、支持物AとCにロープを取り付けてみましょう。AとCの間隔は160㎝です。
    Yの内角が大きいので、ワイドYといいます。(リスクが高い)
    先に述べた内角120度以下のYハングは、スモールYといいます。(リスクが低い)
    このワイドYで、C側のアルパインバタフライのループが切れたと仮定しましょう。
    その場合、左に80㎝以上 スウィング(最大160㎝の可能性)するので危険です。
    作業者は障害物にたたきつけれれるかもしれません。
    場合によっては、メインロープがエッジと接触(横ズレ)して切断する可能性もあります。
    これらは、許容できない大きなリスクなので、回避しなければなりません。
    対策は、他の支持物で、安全にロープを取り付け直すのがいちばんです。
    もし他に支持物がなく、やむなくワイドYをするときは、コネクターを複数、互い違いに用いる等の工夫をして、リスクを低減させる必要があります。
    やむをえずワイドYをするときは、コネクターを複数用いて、互い違いにセットする等、リスクを低減する工夫が必要です。

    ご安全に

    Posted in

    (コメントを残すときは、記事のタイトルをクリックしてください。)


  • 1本のロープを真ん中で振り分ける方法を教えます

    Posted on

    by

    先に述べたとおり、1本の長いロープを真ん中で2本に振り分け、それぞれメインロープ及びライフラインとして用いるのは、なかなか困難でした。
    過去に、東京労働局から「メインロープとライフラインは別々のロープを使用するように」と指導があったことを記憶しています。
    どういうことかというと、ロープの長さが不十分で、片方が地面まで届いておらず、その結果、墜落災害が発生した事例が少なからずあったのです。(残念ながら今年も発生)
    とはいえ、この事例をもって、長いロープを2本に振り分けてはいけないと決めつけるのは早計であると思います。
    所詮、長さが不十分な短いロープは地面に達しませんから。

    長さ100メートルのロープを真ん中で切って、50メートルを2本作ることには抵抗があります。
    100メートルの長さのロープを失うことになってしまうのですから。

    ロープの真ん中にループを作ります。これはロープの真ん中である印です。
    2本に振り分けられたロープに、それぞれフィギュアオブ8オナバイトでループを作ります。
    これにより、それぞれメインロープ及びライフラインとして使用できます。
    それが証拠に、真ん中の印の結びをほどいてみましょう(解く必要はないが)。切断すれば別々のロープですよね(笑)だからといって、切ってしまったらもったいない。

    Posted in

    , , , ,

    (コメントを残すときは、記事のタイトルをクリックしてください。)


  • ロープ高所作業特別教育:東京GCA

    Posted on

    by

    7月31日、品川の都立人材育成プラザで、東京GCAのロープ高所作業特別教育があり、講師で参加しました。
    実技講習で、結索術に潜むリスクおよびリスク管理上認められないことを教えました。

    「もやい結び」はロープを支持物に取り付ける結索として頻用されているが、頻繁に結び変える(ガラスクリーニングの場合1時間に約3回)作業では、結び損なう可能性が否定できず、実際、解けて墜落した事例は少なくない。ロープは結ぶからほどける。結ばなければ、ほどけない。
    メインロープとライフラインは別々の支持物に確実に取り付ける…これは法律だが、だからといって4~6メートル間隔の丸環に、それぞれ別々に取り付けたら、それは大バカ者だ。メインロープが切れたら(ほどけたら)どうなるか考えてほしい… 危険な大スウィングが発生し、作業者は壁にたたきつけられるか、ライフラインが切断して墜落するか、いずれかの労働災害が発生するだろう。ライフラインは用をなさない。
    たとえば長さ100メートルのロープの真ん中にループを作り、2本に振り分け、それぞれメインロープ及びとして使用するのはアリかナシか?話題になった。写真の結索はフィギュアオブ8オナバイトなので、ループは1個だし支持物も1個しかない。 国内法はもちろんのこと、ISO-22846で定められたダブルプロテクションの原則にも抵触するので認められない。
    しからばダブルフギュア8オナバイト(ラビットノット)ならどうだろうか…? 写真は2本のスリング及び2個のコネクタで構築したダブルアンカーに、当該結索で振り分けた2本のロープを取り付けている。 だが当該結索は、ループの長さが調節できる(固定されない)ことから、 結び目の一か所が切れたら、全部解けてしまうのだ。 したがって、これも認められない。

    Posted in

    , , ,

    (コメントを残すときは、記事のタイトルをクリックしてください。)


PAGE TOP