安全というものは、自然界に存在するものではなく、人類が作り上げた大切な文化です。
それは過去の事故を研究し、対策を立てたものに他なりません。
「人が考えて思いつく事故は、まだ起きたことが無くても、いつか必ず発生する」というマーフィーの法則は、今日ではリスクアセスメントにおいて「事故の先取り」という言葉で広く知られています。
事故ではありませんが、失敗を学んで情報を共有することも、わたしたち日本のIRATAメンバーの更なる進化に貢献できるのではないかと思われます。
さて、11月12日に行われた第49回:IRATAトレーニングのアセスメントで、レベル2の一人がなぜ一回で合格できなかったのか、振り返ってみたいと思います。
それは3つ目の課題、ハンギングホールからロワーリングのコンバインで発生しました。
ダミー人形を降ろすために、ハーネスの胸部アタッチメントポイント(D環)に結んだロープの結び目が緩んでいたのです。
負荷を掛けたら締まるはずのバレルノットが、なぜ緩んだのでしょうか?
結び目をきっちり締めて、形を整えることを怠ると、バレルノットは変形し、あらぬ形になってしまいます。
これを「手抜き」といいますが、アセスメントは「安全にできるかどうか」の審査なのですから「手抜き」はいけません。
近頃はやりのロープレスキューのコンペの影響からか、スピードを重視する傾向があり、ときに安全がおろそかになることがあるようです。
困ったアセッサーは、レベル2担当のインストラクターを呼びよせ、「どう思う?」と尋ねました。
そうしたところインストラクターは、(ナミ兵ですが)
「もうメジャーと言われても仕方がありません」と回答! きびしいなぁ(笑)
でもバレルノットの結び方は、レベル1で習得していなければならない技術で、写真のように緩んでしまう可能性があることから、私はちゃんとしたシーケンスで教えています。
ですから、レベル1からやり直し!と言われても仕方ないと思われます。
まあ、それはともかく当該レベル2は、最初の課題で大失敗をやらかしていました。
当該レベル2、二つ目の課題でもラインを間違える不始末を演じてしまいましたから、教えた側のインストラクターの心持は がっかりポン だったと思います。
それが「もうメジャーと言われても仕方がありません」と、言わしめたものと推察されます。
ご安全に!
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