先のスレッドで、Yハングについてリスクアセスメントを行い、長いロープ(100m)を真ん中から2本に振り分けて、それぞれメインロープ及びライフラインとして使用することに対してのリスクは、十分に許容範囲 (すなわち安全) であることを明らかにしました。
今回は、ベーシックアンカーの検証です。
ベーシックアンカーは、H鋼やI形鋼などの構造鉄骨にメインロープ及びライフラインを取り付けるリギング法で、EN566及びEN795の規格に適合したスリングを使用します。
横ズレによるスリングの切断のリスクを低減させるため、最近ではワイヤースリングが頻用されるようになりました。
ここでは便宜上、単管パイプと繊維製スリング(ナイロンとダイニーマの混紡、縫製はポリエステル)を使用します。
話は横道にそれますが、被災者はライフラインを使用していましたが、モバイル墜落制止用器具(ロッカー)の操作が不適切だったため、墜落が止まらなかったもの。
この事故はヒューマンエラーで、メーカー責任はないと思われます。
続けざまに3日の土曜日には、ブランコ台( フランクリン )の吊り索が切れて墜落し、大けがをしたという事故の情報が入ってきました。
被災者は、ライフラインを使用していましたが、モバイル墜落制止用器具 (ロッカー)用のスリングが絡まったのでライフラインから外していたといいます。
国内法に照らし合わせて、この事故は、ライフラインの未使用ということで片付けられるでしょう。
また、フランクリンの吊り索はブランコ台の吊り索の破断強度(19kN)を満たしていない、と指摘されるかもしれません。
しかし、下降器具とシットハーネスのD環を接続さえしていれば、発生するはずのない残念な事故なのです。
国内法に、 下降器具とシットハーネスのD環を接続しなければならないという定めはありませんし、ブランコ台は身体保持器具として認められています。
だからといって、安衛則の文面通りに実行したら(させたら)それは野蛮です。
ブランコ台に工業規格はありません。
シンギングロックのフランクリンのみならず、ペツルのポディウムも規格品ではありません。
この事故も、PL法に抵触しておらず、メーカー責任はないと思われます。
ブランコ台は、長時間の宙づり作業において、作業者の体を楽にしてくれる安全な道具ですが、墜落の危険から作業者を保護するPPE(個人用保護具)ではありません。
メインロープは、墜落を未然に防止する保護具 (フォールファクター0)ですから、接続器具(下降器具)とシットハーネスは確実に接続する必要があります。
ご安全に
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