「ロープ高所作業は危険だ!」と言われる所以は、宙吊りになった作業者の救助が困難で、消防のレスキュー隊による救助も得にくいからです。
安全作業のためには、作業チームによる有効な救助計画が必要です。
右の写真の作業者は、動けなくなってしまっても、リグフォーレスキューによって速やかに地面に降ろしてもらえるようになっていますが、それでも当該作業者には責任ある思慮深い行動が求められます。
まちがってもメンテナンスバーで身体を保持するようなことをしてはいけません。
エイドクライミングによるメンテナンスバーの水平移動や、ワークポジショニングなど、もってのほかです。
なぜなら、そこで動けなくなってしまったら、せっかく立ち上げたリグフォーレスキューが何の役にも立たなくなってしまうからです。
また当該作業者は、工具をメンテナンスバーに連結したのち、その工具に 連結していたハーネス側の落下防止ランヤードを、直ちに解除しなければなりません。
言うまでもなく、リグフォーレスキューのシステムを有効に保つ必要があるからです。
メンテナンスバーで宙吊りになった作業者の救助は容易ではなく、ピックオフのテクニックが必要で、むずかしいのでIRATAでもレベル1には教えていません。
肝心のメンテナンスバーですが、これはFRPに取付けられていることから十分な強度があるかどうか不明で、人ふたりを支えたり、墜落の衝撃に耐えられる保証はありません。
ですから、ピックオフを必要とするメンテナンスバー上での救助は、救助者をも危険にさらす可能性が高く、実際に行うのは困難です。
さて、安全作業の計画にはリスクアセスメントが欠かせません。
事故を先取りし、想定した事故に対して対策を立て、事故を未然に防ぐ必要があります。
たとえば熱中症で動けなくなったとか、指を負傷してロープを登り返せなくなったとか…
「人が想像できる事故は、まだ起きたことがなくても、いつか必ず発生する!」… これはマーフィーの法則ですが、リスクアセスメントの原点ともいえる哲学です。
現段階で、リグフォーレスキューに勝る有効な安全作業の手段は存在しないと思われます。
ご安全に
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