ビルのガラスクリーニングの現場で、全国的に墜落死亡災害が多発し、この半年余りで6名の尊い命が失われました。
この事態を打開するため(一社)全国ガラス外装クリーニング協会連合会は、9月1日から来年の2月28日までの間、『つなげよう命の綱 ひろげよう命の輪』のスローガンのもと、死亡災害撲滅のための取り組みを始めました。
安全技術教育委員会によれば、死亡災害の事例6件は、単に作業者の問題によるものだけではなく、作業に至るまでの社内教育、作業計画、作業管理等の部分にも大きな欠如が見受けられ、作業計画の段階においての正しいリスクアセスメントが行われていなかったと考えさせられる事例ばかりで、労働安全衛生法違反が数多いとの由… 詳細は東京GCAのホームページをご覧ください。
なぜビルの窓拭きの現場で、墜落災害が多発するのでしょうか。
法令を遵守しないことが普通になっている職場体質が、いちばんの問題なのかもしれません。
その背景には「低すぎる受注金額」という問題が隠れているようですが、安全確保の予算もなく対策を怠ったまま、作業者を作業に従事させることは異常で、この異常を日常的に繰り返すうちに、事業主と雇用者双方とも、異常が日常になってしまっているのではないでしょうか。
じっさい、幅約40㎝のキャットウォークに脚立を設置して作業したり、2階の庇に脚立を折りたたんだ状態で壁に立てかけて作業するのは危険で、これを日常的に行えば、いつか必ず墜落する日が来るでしょう。
またロープ高所作業におけるライフラインの未使用及や、墜落の危険のある個所での安全帯の未使用、そして後期高齢者をロープ高所作業に従事させる事態…どれをとっても異常で、コンプライアンスに抵触しているといわざるをえません。
私が海上自衛隊を辞めて、ビルのガラスクリーニングの仕事を始めたとき、父に「それは職業か?」と問われたものでした。
父にはビルの窓拭きが、お屋敷に出入りしている職人さんが駄賃を貰ってやるような仕事に見えたのでしょう。
もし、ガラスクリーニングが企業の生業であるならば、法令遵守と安全確保は必須です。
死んだ父の言葉が忘れられません。「それは職業か?」…
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