受講者の失敗に学ぶ、ヒューマンエラー防止対策
新人は、時に思わぬ失敗をしでかし、目に見えないリスクを私たちに教えてくれます。
パスノットを教えた昨日のこと、ススキさんが、とても参考になる間違いをやってくれました。
このヒヤリハットを見逃さなかったスミスもえらい。
どういうことかというと、セカンドバックアップのレッドをロープにセットするさい、あらぬ位置にロープを通してしまい、墜落阻止機能が働かないまま行動を起こしたのです。写真参照
正しいロープのセット
間違い!
レッドは、不適切な部位にロープがあっても、ちゃんと蓋が閉まり、カラビナがセットできてしまいます。(右側がマチガイ)
当然、墜落は止まりませんから、役に立ちません。
これはヒューマンエラーですが、器具に潜む不安要素でもあります。
リスクアセスメントでは、「危険の源は摘み取るのがいちばん」といわれています。
また、レッドに変わるセカンドバックアップがあれば、工学的対策も可能でしょう。
たとえば、キャッチ
(これは正しいセットです。)
これは間違い!
ロープの通し方を間違うと、蓋が閉まりません。
カラビナをセットすることもできません。
ロープアクセスの事故(ロープ高所作業の労働災害)は、おしなべてヒューマンエラーに起因しています。
ですから使用する道具は、人が間違いをおかしても何事も起こらないようにデザインすることが望まれます。
写真が証明しているように、キャッチのほうがヒューマンエラーが起きない分、レッドよりも安全性は上です。
価格も、おそらく1万円は高いでしょう。
リスクアセスメントはモノ対策です。
作業者に失敗しないよう注意させるのは、それはヒト対策で、災害防止対策としては効果が低いといわれています。
対策にはお金がかかります。
「安全はカネで買うものである」といわれる所以です。
受講者諸君に、リスクアセスメントを教えました。
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