新安衛則第539条の2の1は、ロープの設置について、「メインロープ及びライフラインは、それぞれ異なる支持物に、外れないように確実に緊結こと。」と規定しています。
メインロープとライフラインが同じ支持物に取り付けられていると、その支持物が破断した場合、ライフラインの命綱としての役目が果たせず、即、墜落災害が発生してしまうことは、いうまでもありません。
ただし、役人でもない私が判断して申し訳ありませんが、これもまた安全の最低基準に過ぎません。
確かに、これまでの長い間、ブランコ作業の実技教育では、メインロープとライフラインを別々の丸環に固定する方法が採用されてきました。
しかし教育用に作られた模型ならばいざ知らず、じっさいの現場で同じことをやろうものなら、極めて高いリスクが生じることは、これまで何度も述べてきたとおりです。
詳細は過去のブログ、「ロープの設置: 8月24日、26日、29日」をご覧ください。
訓練を受けていない者にライフラインを持たせると、何をしでかすかわかりません。
右の写真をご覧ください。
ライフラインがメインロープと離れています。
俗に「パラレル方式」というやり方ですが、このパラレルというのが宜しくありません。
なぜなら、ロープ2本分の「養生」が必要になるため、作業がわずらわしくなり、「手抜き」が発生するからです。
ご覧のとおり、メインロープは養生していますが、ライフラインは なおざりです。
当該写真のリスクアセスメントは次のとおりです。
- コンクリートのエッジは、鋸の歯と同じ作用をライフラインに及ぼしますから、メインロープに切断等の異常が発生すると、ライフラインは横ズレし、コンクリートのエッジで切れます。
- ライフラインが強風等の影響により、建物の妻側に流れる可能性があり、その場合、メインロープに切断等の異常が発生すると、ライフラインも連続して切れることが予測されます。
- 事故の結果は、いずれも墜落災害で、被災は作業者本人、地上の第3者を巻き込む可能性もあります。
- 現場の再開には長い時間がかかり、人命はもとより、多くの富が失われます。
- ビジネス上の信用も失います。
- リスクの大きさは、可能性×結果:3×5=15 リスク大
- 作業を中止して、リスク低減措置を講じてください。
対策は簡単です。ライフラインをメインロープと同じ位置に設置すればいいのです。
養生材を共有できますから ♫
メインロープとライフラインは、ツインで使用するのが基本です。
ロープアクセスは、ツインロープテクニックです。
ご安全に
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