「安全帯使用義務」の適用除外は当然でしょう ♫


10月9日、長い間お休みしていた煙突ヤのノリさんが、リフレッシュトレーニングにやって来ました。造園ヤのタイヘーさんと、窓拭きのオサムッチも来て、リアンカーの通過を徹底的に練習しました。レイコさんは厄介な仕事にはまってしまい、今日のトレーニングはお休み… ホーリングの強化練習を計画していたのですが、次回のオタノシミですね。リアンカーは、去年までリビレイと呼んでいましたが、SRT(シングルロープテクニック)との区別を図り、リアンカーと言うようになりました。(写真はリアンカーの通過)DSC08719_RDSC08730_RDSC08726_R

さて、ロープ高所作業が法制化され、来年1月1日から施行されますが、「安全帯の使用」が義務付けられています。新安衛則第539条の7に、「事業者は、ロープ高所作業を行うときは、当該作業を行う労働者に安全帯を使用させなければならない。」「前項の安全帯は、ライフラインに取り付けなければならない」と明記されています。

新安衛則は、従来のブランコ作業及びのり面保護工事の「1本吊り」を規制するものであり、墜落による作業者の危険を防止する目的で、「安全帯の使用」を謳っています。ここでいう安全帯とは、「安全帯の規格」上の安全帯等のことだと思いますが(共に国内法ですから)、ロープアクセスでも安全帯等を使用しなければならないのかと、びっくり仰天した人は少なくないでしょう。

しかし本件通達は、附則第2条関係で、「橋梁、ダム、風力発電等の調査、点検、検査等を行う作業については、個々の作業方法に応じた安全対策について、なお検討の余地があることから、ディビエーション及びリビレイを講じたものについては、当分の間、ライフラインの設置について適用しない」と明記しています。ディビエーション及びリビレイ(リアンカー)は、ロープアクセスのお家芸です。ブランコ作業及びのり面保護工事におけるロープ高所作業の芸風ではありません。適用除外は当然でしょう。

リアンカーの緊結の一例:三つ縒りロープのライフラインにはできない芸風
リアンカーの緊結の一例:三つ縒りロープのライフラインにはできない芸風

ディビエーション及びリビレイは、ともにロープを危険源に接触させないための措置であり、ロープ切断の可能性が十分に低減するため、危険源に覆いをかける等の養生に勝り、リスクアセスメント上推奨されています。
ただし、ディビエーション及びリビレイは、それぞれロープの途中に障害物が生じるため、作業者に通過する能力がなかったら運用できません。
ディビエーション及びリビレイの通過は2次元の動作であり、ロープアクセス特有の芸風です(ブランコ作業は1次元)。
緊急時には作業チームによるオンサイトレスキューが求められます。
当該レスキューは、救助者が、宙吊りのまま動けなくなった要救助者をスナッチし、二人で障害物を通過して地面まで降ろすのが普通です。
レスキュー用のロープは、要救助者のバックアップロープを使います。
バックアップロープとは、ライフラインと同様、作業者を墜落の危険から保護するためのロープです。
要救助者のメインロープが、バックアップロープに換わります。
したがってバックアップロープはメインロープと同じ状態に設置する必要があります。当然、作業者は訓練を積む責任があります。
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この訓練のインストラクターが私の仕事なのですが、それはともかくロープアクセスは、メインロープの他に、「ライフライン」と同等以上のセーフティラインを使用しているのですから、「ライフラインの設置」は適用が除外されるという論法です。
もちろん、ビルの窓拭きでも、ブランコ作業からロープアクセスに変更すれば、「ライフラインの設置」は適用除外ということです。

ディビエーションの通過:ブランコ作業の芸風ではありません。安全帯とライフラインは出る幕なし
ディビエーションの通過:ブランコ作業の芸風ではありません。安全帯とライフラインは出る幕なし

補足しますが、「安全帯の規格」上の安全帯は、足場の無い高所で身体保持(ワークポジショニング)をすることができません。
そのためでしょうか、本件通達は、第539条の3関係において、「ブランコ台」を身体保持器具のひとつに数えています。
しかしロープアクセスでは、ブランコ台はアクセサリーに過ぎず、身体保持とは無関係です。
芸風が違うのですから、「安全帯の使用義務」も適用除外ということになります。如何

ご安全に


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