10月1日、秋葉原の中小企業振興公社で、労働安全衛生規則改正の説明会があり、(一社)東京ガラス外装クリーニング協会の会員100人が集まりました。東京労働局の安全専門官から、詳しいご説明がありました。
労働安全衛生規則を改正する目的は次のとおり
- 高所で作業を行う場合には、墜落による労働者の危険を防止するため、高さ2メートル以上の場所では作業床の設置が義務付けられています。(安衛則第518条第1項) しかし、作業床の設置が困難なところでは例外的にロープで身体を保持する「ロープ高所作業」を用いらざるを得ない場合もあります。
- 過去には、ビルの外装清掃やのり面保護工事などで行われるロープ高所作業で、身体を保持するロープの結び目がほどけたり、ロープが切れたりすることなどによって墜落する労働災害が発生しています。
- このため、今般、労働安全衛生規則を改正し、「ロープ高所作業」を行う場合、ライフライン設置、作業計画の策定、特別教育の実施などが新たに義務づけられました。
「ロープ高所作業の定義」は次のとおり
ロープ高所作業とは、高さが2m以上の箇所であって作業床を設けることが困難なところにおいて、昇降器具を用いて、労働者が当該昇降器具により身体を保持しつつ行う作業(40度未満の斜面における作業を除く。) (安衛則第539条の2)
- 昇降器具とは:労働者自らの操作により上昇し、又は下降するための器具であって、作業箇所の上方にある支持物にロープを緊結してつり下げ、当該ロープに身体保持器具を取り付けたもの(ディセンダー及びアッセンダー)
- 身体保持器具とは:労働者の身体を保持するための器具
ロープ高所作業は、アッセンダー及びディセンダーでロープを昇降する作業と定義づけられましたが、ブランコ作業台を身体保持器具とする限り、1次元の下方向のアクセス(下降・ディセント)しかできないため、ガラス外装クリーニング業界としては、ブランコ作業をロープ高所作業のカテゴリの一つとして位置付けると確認できました。(連合会安全技術教育委員会委員長談) ということは、昇降はもとより、2次元、3次元のアクセスが可能なロープアクセスは、これもまたロープ高所作業のカテゴリの一つとして、位置づけられるということです。ただし、ペツルのアイディのような登・下降可能なディセンダー及びクロール等のアッセンダーを運用するロープ高所作業は、専用のハーネスを装着しなければシステムが成り立ちません。これらはすべて欧州規格のデバイスであり、「安全帯の規格」による安全帯は不要です。
また、ロープ高所作業における危険の防止のため、「メインロープ」以外に、安全帯を取り付けるための「ライフライン」を設けることが義務付けられました。ライフラインとは「安全帯の規格」による親綱のことで、安全帯と連結して作業者の墜落を防止します。しかし、メインロープに欧州規格のデバイスを取り付けて墜落の危険から保護された労働者は、当然のことながら、ペツルのアバオボッドクロールファストに代表されるロープアクセスハーネスを装着していますから、すでに欧州規格のモバイルフォールアレスター(ペツルのアサップロック等)でライフラインと接続され、2重の保護が図られていなければなりません。さらに安全帯を重ねて装着したら、それはおばかさんでしょう。
「西には西の正しさがあり、東には東の正しさがある」と、中島みゆきサンは言いました。
しかし、正しさと正しさは相いれないから困りものです。
ムリに混ぜると、高いリスクが生じかねませんし、追々、解決すべき問題ですね。
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