もやい結びには、作業中ほどけにくく、作業後はほどきやすいという利便性があり、長い間使用されてきました。
しかし、ヨーロッパの登山・レスキューにおいて、ほどける事故が多発したため、70年代には登山のテキストから消えたといわれています。
記憶が正しければ、93年にイタリアで開催されたクライミングの世界大会で、ある選手が、もやい結びで結んだロープがほどけてしまい、墜落して負傷したため、緊急に、残りの選手全員、8の字結びが命じられたことがありました。
この試合には、平山ユージも出ていました。
国内では、この事件がきっかけとなり、もやい結びが使われなくなっていきました。
もやい結びは、結び目を折り曲げると簡単にゆるみ、数回繰り返すと、ほどけます。
先のイタリアでの事故は、選手が何度も同じ場所を行ったり来たりしたさいに、もやい結びが繰り返し突起物に接触したのが原因といわれています。
また、もやい結びは、ループをあらぬ方向に引っ張ると、いとも簡単にほどけます。(写真参照)
これを文献(生と死の分岐点)では、「危険なリング負荷」といい、警鐘を鳴らしています。
もやい結びは、命綱に使用すると高いリスクが生じるので、メインロープやライフラインの結策には不適切です。
ロープ高所作業の改正省令により、各団体で、特別教育のテキスト作成が始まりましたが、そのテキストに、もやい結びが載らないことを願ってやみません。
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