8月5日、ロープ高所作業における危険の防止を図るための安衛則の一部を改正する省令が公示されました。
厚生労働省のホームページに、通達が公開されています。
その通達の最後に、ディビエーション技術が、絵付きで紹介されています。
ディビエーションは、シャープなエッジ等に、ロープが施触しないよう細工する、ロープの取り付け方法のひとつです。
ロープは、危険源に接触さえしなければ、切れる可能性は生じません。
したがってディビエーションは、ロープの切断による墜落防止の措置としては最も望ましく、ひろくロープアクセスの業界で運用されています。
ディビエーションとは、厚労省の文書を引用すれば、「別の支持物、滑車、カラビナ等を用いて、メインロープの位置、方向を変えることで、接触によりメインロープが切断するおそれのある個所とメインロープとの接触を避ける措置」ということになりますが、これはSRT(シングルロープテクニック)といい、ケイビング等(スポーツ)で行われている技術です。
ロープアクセスは産業なので、ディビエーションは、メインロープの他にセーフティライン(ライフライン)も使用して、いわゆる2ロープ、2アンカーの状態で行います。
最近はシングルのディビエーションよりも、さらに安全なダブルディビエーションが採用されるようになりました。
ディビエーションは、作業者に、通過するテクニックがなければ運用できません。
通過に必要なテクニックは、腕力技です。
そのため、ロープの位置、方向を変える「別の支持物」(ディビエーションアンカー)とロープの成す角度が直角に近づけば近づくほど、バカ力が求められ、通過はだんだん困難になって行きます。
通達の挿絵のように、メインロープがディビエーションよって、ほぼ直角に曲がる場合は、とても厄介です。
作業者の体重の約1.4倍の負荷がかかってしまうからです。
これを腕力で引き寄せることはできません。
したがって、通過はできないことになます。
くわえて、「別の支持物」に、大きな負荷がかかってしまうことを見過ごしてはいけません。
破断のリスクが生じるので、シングルのディビエーションは不安全です。
よい子は けっしてマネをしないように!
これはリスクアセスメントです。
ディビエーションの角度が大きくなってしまう場合は、ダブルディビエーションにしたり、支持物の位置を見直したり、あるいはリアンカー(リビレイ)に変更したりして、負荷の低減を図る必要があります。
それでも無理な時は、作業そのものを再検討しなければなりません。
8月17日に、臨時に開催したロープアクセス講習会には、新人2名が参加しました。
ディビエーションの通過をトレーニングしました。
ディビエーションの通過は初級者レベルの技術です。(このレスキューは中級者以上)
ご安全に
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