ロープアクセスを必要とする作業環境は、だいたい過酷です。
何らかの事故で、作業者がロープ上で動けなくなった場合、消防にレスキューを求めても、どうにもならないのが現実です。
消防は、一般市民を救助する訓練は積んでいますが、高層ビル等の建築物でロープアクセスに従事する、特殊な職業人を助けるのは想定外です。
献身的に救助活動に専念していただけると思いますが、消防よりも、むしろロープアクセステクニシャンのほうが専門知識と技術がありますから、オンサイトレスキュー(作業チームによる同僚の救助)のほうが速やかでしょう。
本来、ロープアクセスには、レスキュー計画の立たない作業はやってはいけない! というルールであります。
ロープアクセスは事故の発生する可能性が低くく、安全性の高い作業方法である一方で、いったん事故が起きてしまうと、その結果はきわめて深刻なものであることを、よく理解しなければなりません。
オンサイトレスキューは、ロープアクセスに従事する者にとって必須科目ですが、トレーニングセンターの訓練だけでは不十分で、実践的に現場で訓練する必要があります。
繰り返しますが、オンサイトレスキューは作業者の安全を確保する大切な技術です。
しかし事故が起きない限り、その技術を披露することはありません。
そして事故というものは、そうそう度々発生するものではないので、せっかくマスターしたのに、一生に一度も活躍するチャンスが訪れなかったという人のほうが多いはず!
「だから無駄だ、現場でのレスキュー訓練は生産性を低下させる!」と考えるのは、それこそ考えものです。
一旦事故が起きたら、作業は止まり、同時に生産もストップし、作業再開までいたずらに長い時間が流れます。
レスキューは無用の用です。普段は必要ありません。
でも、事故が起きたとき、その技術がなかったら、たいへんな事態に陥るでしょう。
作業にあたっては、実際に現場でレスキュー訓練を行い、計画したレスキューが速やかに実行できるか否か、確かめておく必要があります。
ご安全に
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