ヘルメットについて考える。「墜落時保護用」でロープアクセスの安全確保は困難!


国内の保護帽には、物体の飛来または落下による危険を防止する「飛来・落下物用」と、墜落による危険を防止する「墜落時保護用」の2種類があります。

飛来・落下物用も墜落時保護用も、外見は同じです。
飛来・落下物用も墜落時保護用も、外見は同じです。
墜落時保護用には衝撃吸収ライナーがあります。
墜落時保護用には衝撃吸収ライナーがあります。
保護帽の強度実験?
保護帽の強度実験?

 

 

 

 

双方とも帽体(シェル)の構造は基本的に同じで、外見で判断することはできません。
二つの保護帽を見比べても、明確に言えることは、色の違いくらいでしょうか。
 しかし、ひっくり返し見てみると、墜落時保護用には衝撃吸収ライナー(発泡スチロール)があり、飛来・落下物用には衝撃吸収ライナーがないことがわかります。

さて、衝撃吸収ライナーのあるなしで、どんな違いがあるのでしょうか?
中央災害防止協会は、全国産業安全衛生大会において、この疑問に答える興味深い実験を行っています。
重さ75kgのダミー人形に保護帽を被せ、保護帽が1mの高さから地面に激突するよう転倒させる実験です。
このとき、「飛来・落下物用」は、14kN(約1400kg)の衝撃荷重で壊れてしまいます。
ところが、「墜落時保護用」は、発生する衝撃荷重が5kN(約500kg)に低減され、しかも壊れません。
何回繰り返しても、同じ結果です。
この実験は、保護帽の規格で定められたテスト方法ではありませんが、こんな実験を目の当たりにすると、「墜落時保護用」のほうが「飛来・落下物用」よりも安全であると思わずにはいられません。
しかも保護帽の名称が、「墜落時保護用」なのですから、ロープアクセステクニシャンやブランコ作業の職人さんに、「墜落時保護用」を被りなさいと言いたくもなります。
ですが、わずか1mの転倒試験の結果で、墜落時の安全が確保できると喜ぶのはあわてものです。
ロープアクセスでは墜落が始まってから止まるまでの距離、すなわち安全なクリアランスを理解していなければ安全確保はままなりません。

安全なクリアランスの目安は、(フォールアレスタのすべり量)+(エネルギーアブソーバーの伸び)+(セーフティラインの伸び)+(作業者の胸部から足元までの長さ)+(さらに地面から1m)です。

もとよりクリアランスに障害物があってはなりませんが、振られながら墜落する可能性もあり、作業者は1度ならず23度と、途中の障害物に頭部を接触させるかもしれません。
このとき、最初の一撃
で保護帽が脱げてしまったら、2度目3度目の衝撃から頭部を守ることはできません。

ここで大切なポイントは、容易には外れないあご紐の強度です。
残念ながら、国内の保護帽には、あご紐の強度に規格がありません。
1回目の衝撃で脱げてしまう可能性があります。
とはいえ、国内の保護帽は、安全帯で止まる程度の墜落しか想定しておらず、ロープアクセスやブランコ作業は想定外…

一方、欧州規格の保護帽には、あご紐の強度が定められています(15kg25kg)。
しかもペツルのバーテックスベストやアルベオベストは、50kg以下の引っ張り荷重では外れないよう特別にデザインされています。

全国ガラス外装クリーニング協会連合会が発刊した「ビルの窓ガラス及び外壁・清掃作業安全基準」の第2-11-4-9)ブランコ作業の保護帽に、「墜落時保護用を使用する。」と書いてありますが、これを根拠にロープアクセステクニシャンやブランコ職人に「墜落時保護用」の装着を命じるのは総計です。
当該安全基準書は、「墜落時保護用を使用しなければならない。」という言明をあえて避けたのですから。

リスクアセスメントを行って、より安全性の高い保護帽を使用することが肝心です。

 ご安全に


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