【岡目八目】

今回は、パスノットのレスキューです。
これまで パスノットレスキューは、アッセンション等を用いてループを作り、リアンカーのごとくに操作して、結び目をスルーするのが普通でした。
今でも練習はしていますが、コロナ禍前のアセスメントから、アッセンションンおよびクロールに二人分の荷重がかかると失格になるルールが採用さるようになり、アセスメントで披露することはなくなりました。

そのため、新たな手法が求められるようになりました。
その一つが、結び目をスルーせずに、まともに越える方法です。
どんな環境でも救助できる 究極のメソッドですが、パワーが必要な荒業で、うまくいく場合もあれば、いたずらに時間がかかってしまう場合もあるので、習得には十分な練習が必要です。

上手に演じるには、体重差、身長差、あるいは力のあるなし を考慮する必要があります。
また、下方のアイディの取り付け位置や、ピックオフの要領をちゃんと理解していなかったら、一撃でアイディをリリースするのは困難です。
とてもテクニカルで面白いので、トーアスのトレーニングではスタンダードになっています。

カジュアリティはアイディでオンロープ状態です。
介入してカジュアリティのアイディを外し、自分のハーネスのD環の 右側に取り付けます。
結び目ギリまで下降して停止します。
メインロープの結び目の下に、2個目のアイディをセットします。
セットする位置は、結び目から10㎝くらいがいいでしょう。
上方のアイディをリリースする準備です。
ですが、マジックスリングをセットする位置が、望ましくありません。
胸部アタッチメントポイント(D環)にセットするのは、クロールを外す場合の手法です。
正しくはショートリックのコネクター
案の定、一撃でのリリースに失敗し、やり直しました。
なんとか成功
お疲れちゃんでした

トーアスのインストラクター陣の レベルの高さを をよくご存じのアセッサーは、コレが始まると がん見せずに その場を離れます。
また過去のアセスメントでは、びっくり仰天したアセッサーがおられましたが、アセッサーでも知らない 審査に困るような技を披露しているということを、よく理解しておく必要はあるでしょう。

なぜなら、アセッサーに挑戦していると思われてしまう可能性があるからです。
事実、おかげでトーアスのインストラクター陣のレベルはさらに向上したのですが、割を食ったのは受講者諸君でした。
その時の受講者も、今ではみなさん優れたテクニシャンに成長し、現場で活躍されています。

それはともかく実際のレスキューは、短時間で終わる簡単なものでなければなりません。
それはアセスメントも同じです。
結び目のない3本目のロープを使用するなどして「するいやつだ」と笑われても、難しい方法を簡単な方法に替え、レベル1でもできるようにするほうが、望ましい選択だと思います。

ご安全に

【岡目八目】

ダブルディビエーションのレスキューです。
演者のTAKEさん、パーフェクトでした。
でも、もっといい方法があるかもしれません。
今後のためにも事後研究は大事です。

角度が約15度のディビエーションは、ちから任せで通過することができますが、バイパスといわれるメソッドは、約20度のディビエーション レスキューには必須です。
ほんらい 20度という大きな角度のディビエーションは、レスキューが困難になるので、リアンカーに替える必要があるのですが、当該メソッドは、ちからを使わずに楽に通過できるので、知っていれば得をします。
ただし「策士策に溺れる」という格言があるように、演じるには注意が必要です。(笑)
下降を停止する位置を間違うと、ヒドイ目にあいます。
カジュアリティから貰ったアイディを、ディビエーションのコネクターの下方のロープ(ライフライン)にセットします。
セカンドバックアップは、コネクターの下方のロープ(メインロープ)にセットします。
これ、間違うと 通過できません。
実務においては、ロープの色を変えて、ヒューマンエラーの防止を図ることが望まれます。
アイディで、行けるところまで ロープを登り返します。
次に、双方のアイディに均等に荷重がかかる位置まで下降します。
ライフラインからアサップロックを外して、メインロープ側にセットし直します。
このとき、双方のアイディに均等に荷重がかかっていなかったら… ワンポイントになってしまうので、 メジャーディスクレパンシーです。
アセスメントで コレをやらかして、失格になった人がいました。
本人は間違いを否定していましたが、アイディがまだ均等荷重になっていなかったのです。
均等荷重… 見る角度によっては…んん、勘違い
下降して ディビエーションを通過しますが、アイディをリリースするさい、ライフラインが弛むので、すかさずセカンドバックアップをスライドさせる必要があります。
ボーッとしてると マイナーディスクレパンシーで、ワンマイナー
でえりぁあ ヒューマンエラーの可能性が高きゃあメソッドだにゃあ
ふたりで1個のアイディで下降するときは、摩擦を増やす工夫が必要です。
忘れちゃったら 失格です(笑)
でも、地面に近い位置ではバックアップは有効ではありませんから、ダブルアイディで下降するほうがベストです。
TAKEさん、お疲れちゃんでした。
たいへんよくできました。

とてもテクニカルで、楽しいレスキューですが、ヒューマンエラーの可能性があり、審査するアセッサーをハラハラさせるメソッドです。
ダブルアイディの均等荷重とバックアップデバイスの有効性の判断は、がん見しないとわかりませんが、一瞬の動作の良否の判断は困難です。
わたしは、ヒューマンエラー防止対策として、カウズテールを1本、ダブルディビエーション双方のスリングに掛けるようにしています。
できる人にはムダに見えるかもしれませんが、安全装置だと思って、この一手間を加えます。
失敗しても何事もおこらないので、演者も安心、アセッサーも安心です。

ご安全に!

第46回:IRATAトレーニング・アセスメント2日目

8月28日、7人のレベル2 の審査が行われました。
結果は、全員合格
しかも 5人が excellent、2人が very good の成績でした。
実力レベル3の皆さんですから、そりゃまあ当然だったでしょうね。
でもこれは、インストラクターを務めたMIZUTAクンの手柄だと思います。(笑)

それはそうとて、事後研究は大事です。
昨日のレベル3の、ロープトゥロープトランスファ を振り返ってみましょう。

カジュアリティ(要救助者)のクロール側から介入するメソッドです
カジュアリティのセカンドバックアップ側のロープを登ります
自分のセカンドバックアップを使用してカジュアリティのクロールをパスします
クロールの下のアサップロックはリリースです
セカンドバックアップをアサップロックに交換し、上方にスライドさせ、安全なフォールファクターの位置をまもります
さらにロープを登り返して クロールからアイディへチェンジオーバーです
これで ようやくレスキューモードになりました
登りすぎた分 下降しています
あれっ? なんばしよっと??
コネクタ2個’(ショート)で接続するつもりですかぁ?
アイディ側から介入するメソッドと勘違いしちゃってますね
ほんとにショートとロング 繋いじゃいました
おっと!こんどは自分のアイディで登り返しをやらかそうとしています
たしかに3:1のメカニカルアドバンテージです
登り返してますが、完全なる勘違い
つなぐ必要も 登り返す必要も まったくありません
下手すりゃ メジャーでスクレパンシーと言われかねません
レベル3に求められるのはリスクアセスメントです
リスクの高いメソッドを選んではいけません
リアンカーじゃあるまいし 下方にはロープがたっぷりあるんです
やっと登り返さなくてもいいことに気が付いたようです
自分のアイディをコントロールして、ロープトゥロープトランスファを終了させました
アイディ リリース
アサップロック リリース
あとは二人で降りるだけ
レッツラ ゴン
ハイよくできました!って言いたいんですけど, 時間かかりすぎ
なまら はんかくさい メッソドでした

カジュアリティをショートとロングで接続し、登り返しまでやらかしたのは まったくのムダ。
ロープ間の距離が近かかったので、ショートを繋ぐことができたから よかったものの、苦しまぎれにロングを繋ごうものなら、一発でメジャーディスクレパンシーで失格になるところでした。
なぜなら、クロールに墜落防止措置を講じてはいけないのですから!
正解は、ショートもロングも繋がずに、カジュアリティのアイディをコントロールして、ロープトゥロープトランスファを終了させるのが先決!
前述を繰り返しますが、レベル3に求められるのは、リスクがもっとも低いメソッドです。
危なっかしく感じさせるのは、避けるべきでしょう。
【岡目八目】

次回の岡目八目は、 パスノット レスキュー

乞うご期待