ロープの切断防止はワイヤーで

勾配のある建物で調査・メンテナンスを行うとき、注意しなくてはいけないのがシャープなエッジのあるなしです。
一時期、東京都内のガラスクリーニングの現場( 勾配のある建物 )で、 ステンレス製の雨樋でロープが切断し、作業員が墜落するという事故が4件つづけざまに発生したことがありました。(3件は死亡災害)
あたりまえですが、下降中にシャープなエッジにロープ が接触すると簡単に切れてしまいます。
メインロープが切れるときは、ライフラインも切れるので危険です。
相手は刃物同然の金物ですから、巻き型養生(ローププロテクター)で低減できるような、レベルの低いリスクではありません。
こうした場合、ワイヤーを使うのが有効で、ペツルの新製品 ワイヤーストロップがおススメです。

シャープなエッジには ロープを接触させないほうが先決!
巻き型養生ではリスクは さほど低減しない。
あて布には穴が開くという不安がある。
エッジに接触する部位で ロープをワイヤーストロップに交換する。
ワイヤーは シャープなエッジに接触しても切断しない。
荷重のかかっていないロープは エッジに接触しても切れない。



しっかりと三密を守り、ロープアクセス講習会

コロナに負けるな!
変異ウィルスの急速な感染拡大で、4都府県に緊急事態宣言が発令されている中、4月30日、しっかりと三密を守ってロープアクセストレーニングを行いました。
密集を避けて 参加者は4人、
密接を避けて インターベンションのレスキューは無し、
密閉しないよう 会場の出口入り口は開けっ放して、2台の排気ファンも稼働
参加者の 検温、手洗い、マスク使用は当然です。

特記すべきは新人の参加
ロープアクセスはアルテリアの講習で習得しという東京都大田区のYKさん
ご職業はガラスクリーニングで、このブログ「FTGロープアクセス」の愛読者です。

ロープ トゥ ロープ
リアンカー
ディビエーション
パスノット
フックス エイドクライミングと
ムービング エイドクライミングから
ロープアクセス
ディビエーションの通過までのコンビネーション
東京都町田市から参加のNHさんも 期待の新人です。

ハーネス型墜落制止用器具特別教育

公益財団法人東京ビルメンテナンス協会と一般社団法人東京ガラス外装クリーニング協会の共催で、 11月21日、西日暮里のビルメンテナンス会館においてハーネス型墜落制止用器具特別教育が開催されました。
受講者24人、講師4人(私は講師で参加)
テキストは中央労働災害防止協会発刊の「フルハーネス型墜落制止用器具の知識」を使用して、私の担当は第2章および第3章の学科と、実技のレストレインでした。
墜落制止用器具で、墜落を未然に防止することはできません。
墜落制止用器具を使用するということは、作業において墜落は、想定内だということです。
墜落制止用器具の使用は、安全の最低基準です。
ですから墜落を未然に防ぐことが先決であり、墜落した際は、直ちに救助が必要です。

ほとんどの人がビルメン関係者で、しかもロープ高所作業に関わる業務の方が少なからず参加されていたので、墜落制止用器具を使用した「平場➡笠木➡垂直面➡下降」の手順を展示しました。

墜落制止用ランヤードで墜落から作業者を保護するフォールアレストシステム
危険個所へ到達することを制止するレストレインではない。
したがって墜落の可能性は消えない。
これ以上前進すると(笠木の上に乗ると)墜落の可能性が高くなるので、
注意してメインロープとライフラインを垂らす。
墜落制止用器具だけに頼った高所作業はリスクが高い
平場でライフライン及びメインロープの接続を行う。
メインロープに荷重が掛かったら墜落制止用ランヤードをリリース

次に、上記の手順に潜む大きなリスク(墜落する可能性)を低減する方法を展示しました。

調節型ランヤード(グリヨン)を使用
ランヤードで拘束・制止(レストレイン)されている。
墜落の危険のある個所に接近する(笠木の上に乗る)ことはできない。
メインロープ及びライフラインを垂らし、それぞれ連結する。
調節型ランヤード(グリヨン) を操作して笠木に乗る。
調節型ランヤード(グリヨン) のバックアップはライフライン
ライフラインとハーネス型墜落制止用器具の接続はペツルのアサップロック
さらに 調節型ランヤード(グリヨン) を操作すると
メインロープに荷重が移る。
調節型ランヤード(グリヨン) をリリース

高所作業において、足場と囲いの設置が合理的ではない場合は、墜落しない方法(衝撃荷重が発生しない方法)から順次、選択を検討するのが肝要です。
繰り返しますが、墜落制止用器具だけに頼った高所作業はリスクが大きいのです。
ご安全に