「墜落制止用器具」に潜むリスクと そのリスク低減対策-2

去る7月14日、「墜落制止用器具」に潜むリスクと そのリスク低減対策についてと題し、高所作業における救助計画の必要性について論じましたが、今日は、墜落そのものを未然に防ぐメソッドについて、写真を用いて論じてみたい思います。
作業計画を立てる際のリスクアセスメントの一助になれば幸いです。

足元にフックがある状態からの墜落(落下係数2の墜落)は墜落の深刻度が最も高い。

周知のとおり高所作業は、手摺りや囲いのある作業床で行うのが基本です。
ただし手摺りや囲いの設置が合理的ではないと判断される場合は、墜落制止用器具(安全帯)を使用して作業者を保護しなければなりません。
墜落制止用器具の使用はコンプライアンスです。
しかしながら法律で定めるところのメソッド、すなわち墜落制止用器具の使用は、安全の最低基準にすぎません。
墜落制止用器具には墜落を未然に防止する機能はありませんから、墜落のリスクを許容範囲まで低減させるには(作業者を墜落させないためには)、ワークポジショニング(身体保持)というさらなる対策が必要になります。
ワークポジショニングには、ワークポジショニング用のハーネス(ボルトウインドなど)が必要で、ランヤードは長さが調節できるグリヨンを使用するのが一般的です(写真はカウズテールを使用)
これにより墜落の可能性は大幅に低減します。
しかしワークポジショニングに失敗したら墜落はまぬがれません。
もちろん墜落制止用器具によってその墜落は止まるのですが、止まった後は長時間の宙づりによるサスペンションイントラレンスの危険があり、ただちに救助しないと危険です。
したがってワークポジショニングを講じたのちも、さらなる残留リスクの低減対策が求められるので、救助計画はないがしろにできないのです。
ご安全に

墜落制止用器具は墜落阻止時に発生する危険な衝撃荷重を6kN以下に抑える保護具

低い姿勢をとるのは落下係数を低く抑える(2から1に下げる)ためのリスク低減対策

端部は墜落の可能性が高い場所なので、墜落制止用器具だけに頼った作業はリスクが高い。

ワークポジショニングで墜落を未然に防ぎ、リスクを下げる。墜落制止用器具の使用で2重の保護

アセスメント2日目の結果報告 

9月2日 2日目のアセスメントが行われました。
レベル2、レベル1 それぞれ二人づづ審査を受けました。
結果は、全員合格
アセッサーから「ロープアクセスは常に勉強が必要である」とのコメントを頂きました。
今日の合格はスタートラインに過ぎません。
ライセンス更新までの3年間、ボーッと生きてたらチコちゃんに叱られます。

アセスメント結果報告

秋雨前線の影響で気温がぐっと下がった9月1日、トーアス株式会社の訓練施設で、第32回IRATAトレーニングコースのアセスメントが開催されました。
アセッサーのマーク バレンタイン氏によって、7人のレベル1受講者の審査が行われました。
アセスメントは順調に進み、みなさん好成績で合格しました。
おめでとうございます。
最後にアセッサーの指示により、エッジマネジメント(切断防止の対策のヒエラルキー)の講釈をさせていただきました。
リスクアセスメントは大切です。