教える必要がない 「もやい結び」

ロープの先端(索端)にアイをつくる結びといえば、アイ スプライス(さつま編み込み)がマニュアルです。
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アイとは目のことで、シンブルを入れて作るのが普通で、シャックルやカラビナ等のコネクターを取り付けて支持物(アンカー)との緊結に使用します。
アイ スプライスは、現場に行ってから結び始めると時間かかかって日が暮れてしまい、仕事になりません。
一般的に、ロープ屋さんで作ったものを購入します。
アイ スプライスは強度が高く、決して解けないばかりか、現場で結んだり解いたりしないので、作業者が結び損じるおそれがありません。

アイ スプライスが施されていないロープでは、もやい結びが頻用されます。
ビルの窓拭きのロープ高所作業の場合、10階建てのビルで、1時間に3回くらい ロープの結び替えをします。
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もやい結びは、そのたびに結ぶ、解く、という動作を繰り返します。
1日5時間作業した場合、結ぶ、解くの繰り返しは15回になります。
十日(50時間)で150回、百日(500時間)で1,500回、二百日(1,000時間・1年間の労働時間)で15,000回…
「万に一つ」の失敗する可能性は、一年の間にやって来ます。
これを三年、四年、五年と繰り返すのですから、魔がさすのも不思議ではありません。
事実、結んだつもりで下降して、解けて墜落した事例はいくつも報告されています。
ロープ高所作業における墜落災害の原因は、おしなべて人が犯す間違い、すなわちヒューマンエラーです。
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もやい結びを索端でひとつくくって補強しても、ヒューマンエラーを防ぐことはできません。
ロープは結ぶから解ける。結ばなかったら解けない。
もやい結びに限らず、ヒューマンエラーを防止するには、こうした考え方が必要です。

ロープ高所作業特別教育で、「墜落による労働災害の防止のための措置」と題して、もやい結びを教える向きがありますが、それは逆に、「労働災害のすすめ」になっていることに気が付かなければなりません。

ご安全に

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